第9章 人類の希望→感情の変化
「まずは憲兵団からの提案を聞こう。」
ダリスはナイルの方を見た。
ナイルは調査兵団や駐屯兵団をギロッと睨んでから
「我々はエレン・イエーガーの生態を解剖して調べ上げ、最後には処分したいと思います。」
と言った。
フーリはナイルを睨み返した。
ナイルは気づいていないようだが。
解剖するなんて・・・ばかばかしい。
エレンが黙ってやられるとも限んないだろ・・・
それに・・・
ミカサも怒るだけでは済まなくなるだろう
今もう、人とは思えないぐらい怖い形相でナイルを睨んでるし・・・
「次は調査兵団の提案を。」
ダリスはエルヴィンの顔を見た。
エルヴィンは一言、
「我々はエレンと壁外調査に正式に迎え入れ巨人の力を利用し、ウォール・マリアを奪還します。以上です。」
とだけ言った。
フーリはエルヴィンの顔を見た。
迷いのないまっすぐな瞳だった。
さすが・・・調査兵団団長だな。
フーリが感心していると、いつの間にやらミカサが証言をしていた。
「巨人化したエレンに攻撃されたのは事実です。でも・・・私は巨人のエレンに二回も助けられました!」
ミカサが必死に訴えていた。
フーリはため息をついた。
リコ班長はミカサが攻撃されたことも報告書に書いたのか・・・
まあそのほうが良いかもな。
するとナイルがミカサを指さして
「彼女もエレンも9歳の時に人を殺しています!」
と叫んだ。
審議所がざわめいた。
すかさずフーリは
「今はエレンの身柄の審議です。関係のない話を持ち込まないでください。ナイル団長。」
と言い放った。
ナイルはフーリの顔を見てはっとした。
フーリはそんなナイルを無視して
「エレンは一度は攻撃してしまいましたが、成功例は二回もあります。」
と言った。
ダリスはふむと手を顎に当てた。