第8章 初陣
「なぜ、兵長がここに?ウォール・マリアに行ったのでは?」
フーリはまだ呆然としていた。
「団長命令で途中撤退だ。壁の中の様子がおかしいとな。来てみたらこの状況だ・・・。おい、フーリ。」
フーリは突然呼ばれてビクッとしてしまった。
「は・・・はい!?」
自分でも驚くほど情けない声が出た。
「怪我ねえか?」
フーリは心外そうにリヴァイを見た。
「え?・・・あ、左腕を痛めた程度で・・・。」
「後で手当てしてもらえ。無理はするな。・・・壁の中に撤退するぞ。そこのガキはおそらく裁判にかけられるから調査兵団があずかる。」
そう言ってリヴァイは気を失っているエレンを指さした。
「そうですか・・・あの・・・そろそろ下ろしていただけますか?」
フーリは恥ずかしそうに頼んだ。
助けられた状態だったため、抱きかかえられていたのだ。
「ああ。・・・それから、そこの2人とお前は裁判所に来い。証言係だ。」
フーリを下ろしながらリヴァイは言った。
「「「はい。」」」
・・・エレンの身柄が調査兵団に渡ればいいんだがな。
憲兵団の奴らに渡ったら終わりだよな。
フーリは難しそうな顔をしながら壁内に戻った。