第8章 初陣
ミカサとアルミンはエレンを連れてどこかへ行ってしまった。
訓練兵達は無事壁内へ帰還したものの、落ち着いてはいなかった。
ある者は仲間を失う恐怖で自殺しようとし、ある者はずっと嘔吐を繰り返していた。
初めての戦いだったため、無理はない。
フーリは壁内に戻ってからずっとエレン達のことを考えていた。
なぜエレンは巨人になれるのだろう・・・。
ものすごい事実が発覚してしまったな。
これからのエレンの身柄はどうなるのだろうか・・・。
壁内は先ほどから駐屯兵士たちが慌ただしく走り回っている。
「エレン達の身柄でも拘束しに行ったのか?」
フーリは最悪なことを呟いてしまった。
何て事を言っているんだ私は・・・。
そんな自分に呆れてため息をついた。
エレン達の無事を祈るしかないよな。
フーリは祈るようにそっと目を閉じた。
そんな時だった。
「フーリ・サトリアスはいるか!?」
駐屯兵団の兵士がフーリを呼んだ。
「ここにいます!」
フーリは返事をしながら、その兵士のもとへ駆け足で向かった。
「お前がサトリアスか。ピクシス司令がお呼びだ。ウォール・ローゼの上でお待ちだ。兵士が集まっているからすぐにわかるだろう。」
駐屯団兵士はそう言ってまた慌ただしく走り去っていった。
フーリは驚いていた。
あのピクシス司令が私なんかになんのようだろうか・・・。
考えなくても向かえばわかる話だ。
フーリは立体起動を軽く安全点検をしてから、ピクシス司令に急いだ。
「・・・まさか。」
フーリは気づいたように呟いた。
まさか・・・エレンに関係しているのか。
いや・・・絶対そうだ。
今エレンの身柄を取り押さえられるのは駐屯兵団だけだ。
ピクシス司令は「生来の変態」と言われているが南部最高責任者だ。
考えがあるのだろう・・・。