第8章 初陣
並の兵士よりも速く飛ぶミカサを追って、フーリもスピードを上げる。
ミカサはエレンが心配でならないのだろう。
だから、こんなに急いでるのだ。
フーリはそんなミカサを少々不安に思った。
ミカサとフーリは、104期訓練兵が集まっている屋根を見つけた。
104期訓練兵も二人を見つけた。
「どうしてみんなは戻らないの?」
ミカサは訓練兵達に不思議そうに聞いた。
訓練兵達はうつむいてしまった。
「まさか・・・ガスの残量が足りないのか?」
フーリは気づいた。
「ああ・・・。もう駄目かもな。」
いつも自信家のジャンがうなだれた。
ミカサはずっときょろきょろしている。
「ねえアニ。エレンを見なかった?」
やはりそれか・・・。
大方予想が付いていた。
アニは知らないと首を振り、
「同じ班のアルミンなら、あそこにいるけど。」
と言ってアルミンのいる方向を指さした。
ミカサは駆け足でアルミンに寄った。
「アルミン、大丈夫?エレンはどこ?」
ミカサの声を聞き、ミカサの顔を見るアルミンの顔は絶望で目を見開いていた。
「ミカサ・・・。エレンは・・・。」
そういうことか・・・。
エレンはもうこの世にいないのか。
アルミンをかばって、巨人に喰われたという。
「エレンは・・・僕のせいで!!」
ミカサは黙って恐怖でひきつった顔のアルミンを立たせた。
「アルミン、しっかりして。自分を責めないで、今は壁の中へ帰ることに集中しよう。」
ミカサは巨人に囲まれてしまったガス補給所に向かうつもりらしい。
「私は強い。あなた達より、もっと強い。」
ミカサはブレードを空に掲げ、一人補給所へ向かっていった。
フーリはアルミンのもとへ行った。
「アルミン、私たちも補給所へ向かおう。このままではミカサは死ぬ。エレンを失ったせいでひどく動揺しているんだ。それに・・・私はまだ死ぬわけにはいかない!」
フーリはアルミンにそう告げて、補給所に向かって飛び出した。
「フーリが・・・生きようとしている。」
アルミンは驚いた。
「おい!俺たちはたった二人の仲間だけを戦わせろと習ったか?違うだろ!!」
ジャンがほかの訓練兵達に向かって叫んだ。
そして、訓練兵達と共に補給所へ向かった。