第8章 初陣
「あの巨人は私がやる。ミカサは住人達の揉め事を解決してくれるか?私は人との交渉とかは苦手だから。」
ミカサは頷いて、住人のもとへ向かった。
「さてと・・・やるか。」
そう呟いて、フーリはアンカーを巨人のうなじに刺してきれいに削ぎ取った。
「ふう・・・。ミカサの方はどうなったんだ?」
倒れて蒸発しつつある巨人から飛び降りてミカサのもとへ向かう。
「ミカサ。原因はその男と荷馬車か?」
フーリは太った中年の男をブレードで指し示した。
「そう。・・・あなたの話に質問だけど、死体がどうやって喋るの?」
ミカサは男に言い放った。
男は諦めたようで、門に引っかかった荷馬車をどかした。
そこにいたある母親と子供がフーリとミカサに走りより、
「あの・・・ありがとうございました。」
と礼を言った。
それに答えて、ミカサは敬礼をしてフーリは軽く会釈をした。
その親子を見ているミカサの表情は少し寂しそうであった。
きっと思い出しているんだろう・・・。
殺された両親のことを。
私は親に捨てられた・・・。
だからといって悲しいとも何とも思わない・・・。
思わない・・・はず。
はずなのに、何なのだろう。
この胸をうずきは・・・。