第6章 「あんたの本気を見せてくれ。」
-その日の夜-
フーリはいつも通り1人で夕食を食べていた。
そこへエレンが夕食を持ってやって来た。
「あの・・・フーリ、隣いいか?」
エレンは遠慮がちに聞いてきた。
「ああ。・・・ミカサもいいぞ。」
フーリはエレンの後ろにピットリくっついているミカサにも言った。
「遠慮なく・・・。」
エレンとミカサはフーリの隣に座った。
「何かようか?」
フーリは食べながらエレンに聞いた。
「ちょっと聞きたいことがあってさ・・・。」
聞きたいこと?
昼間の対人格闘の事だろうか・・・。
「私がアニと格闘しているのを見たのか?」
「ああ!すごいなお前ら!!どうすればあんな強くなるんだ?」
エレンはうれしそうに聞いているように見えるが・・・
「・・・本当に聞きたいことは何だ?」
フーリがエレンに問い詰めると、エレンは諦めたような顔をした。
「やっぱフーリにはかなわないな。」
エレンは覚悟を決めたように話し始めた。
「聞こうか迷ったんだけどさ・・・フーリが昼間に金属っぽい欠片をさすってるのを見たんだ。あれって何だ?」
フーリはピクッとなった。
「見てたのか・・・。あれは銃の欠片だ。私が『人間』でいるためのものだ。」
そう話すフーリの顔は暗かった。
そんなフーリを見て、エレンは言った。
「それがなくてもフーリが『人間』でいられる存在が現れるといいな。・・・フーリに生きたいと思わせてくれる存在も。」
「私もそう思う。フーリにそんな存在が現れることを祈ろう。」
ミカサも言った。
「・・・。」
フーリは黙ってしまったが、顔が少し穏やかになった。
そんな存在がいるのか?こんな世界に・・・
でもまあ、いてくれても悪い気はしない。