【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第5章 【真紅の暴君】前編
【HEROINE side】
目を開くと、寂れた天井が目に入った。
ここはオンボロ寮、自分の部屋、ベッドの上、今の私の寝床……
ユウ
「あんまり寝た気がしない……」
なのに妙に目が冴えている。
なんだか不思議な夢を見ていたような……
ドンドン
ユウ
「!」
ドアを叩く音?
グリム
「むにゃ……オイ、ユウ。こんな夜中に誰か来たみたいだゾ」
グリムも目を覚まし、ベッドから起き上がる。
ドンドン
グリム
「なんだあ?お化けのヤツらか?諦めわりーんだゾ」
ユウ
「幽霊は壁とかすり抜けそうだから、違うんじゃない?」
人間だとして、こんな時間に誰だろう?
それも、私とグリムしか居ないオンボロ寮なんかに……一体何の用で?
私は、グリムと一緒に玄関へ向かった。
ドンドン
ユウ
「……どちら様ですか?」
すりガラスの向こうに人影が見える……多分、ゴーストじゃない。
エース
「……オレ。エース。ちょっと中に入れてよ」
ユウ
「え?……エース!?」
私は、急いで鍵を開けて、ドアを引いた。
そこには本当にエースが居て、不機嫌そうなその顔と目が合う。
私が「どうぞ」と言う前に、エースは中に入ってきた。
グリム
「こんな時間にどーした……」
その首には、ハートを象った首輪が付けられている。
グリム
「げげっ!その首輪は!!」
ユウ
「ど、どうしたのそれ!?」
あれって、入学式でグリムが付けられてたやつだよね?
エース
「も〜、絶対ハーツラビュルには戻んねえ。今日からオレ、ここの寮生になる!」
グリム
「にゃに〜〜〜!?」
ユウ
「えーーーー!?」
な、何で!!?