【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
クロウリー
「この学園に入学できるのは、『闇の鏡』に優秀な魔法士の資質を認められた者のみ。選ばれし者は、『扉』を使って世界中からこの学園へ呼び寄せられる。貴方のところにも、『扉』を載せた黒い馬車が迎えに来たはずです」
黒い馬車……黒い馬車……
ユウ
「あ!」
私は、目が覚める前にみていた夢を思い出した。
ユウ
「そうだ。なんか顔の怖い馬が引いた馬車で……暗い森を通ったような……」
クロウリー
「あの黒き馬車は、闇の鏡が選んだ新入生を迎えるためのもの。学園に通じる扉を運ぶ、特別な馬車なのです。古来より特別な日のお迎えは馬車と相場が決まっているでしょう?」
どこの相場!?ってツッコミたいところだけど、それは今は置いておいて……
ユウ
「つまり……私は、あの馬車に勝手にここに連れて来られたってことですか!?」
それって誘拐じゃん!
グリム
「むがーー!むががーー!!」
クロウリーさんの手に捕まったまま、グリムが何かしら吠える。
クロウリー
「さっ、入学式に行きますよ」
ユウ
「いやいやいやいや、私入学しませんよ!?家に帰ります!」
クロウリー
「今更何を言っているのやら……緊張してるんですか?」
ユウ
「違いま……」
クロウリー
「鏡の間はもうすぐです」
引き返そうとしたらクロウリーさんに手を掴まれて、強制的に連行される羽目に。
ユウ
「誰かーーーー!!助けてーーーー!!ここに誘拐犯がーーーー!!」
クロウリー
「誰が誘拐犯ですか。これ以上面倒をかけさせるつもりなら、愛の鞭で縛って連れて行ってもいいんですよ」
ユウ
「それは嫌ですけど!」
でも……え!?本当にこのまま入学式に行くの!?それも、まったく知らない学校の入学式に!?
行きたくない……けど、一人で残されてもどうしたらいいか分からないし……
他の選択肢なんてなくて、私は結局、クロウリーさんの後をついて行くしかなかった。