【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
黒のズボンとベスト、大きな上着をマントのように纏っていて、肩には黒い羽が飾られてる。
頭には羽飾りが付いたシルクハット、顔には目元と鼻頭を覆う黒い仮面、手には黒い手袋と、尖った爪のような金色の指飾り……そして、洋鍵を模したステッキを持ってる。
およそ図書室には不似合いなド派手な格好に、私の恐怖は混乱に塗り替えられた。
???
「ああ、やっと見つけました。君、今年の新入生ですね?」
コツコツと靴を鳴らしながら、男の人はこちらに近づいてくる。
???
「ダメじゃありませんか。勝手に扉(ゲート)から出るなんて!」
ユウ
「え?えっと、私……」
ゲート?
???
「それに、まだ手懐けられていない使い魔の同伴は、校則違反ですよ」
ユウ
「その猫は私のじゃな……」
グリム
「離せ〜!オレ様は、こんなヤツの使い魔じゃねぇんだゾ!」
使い魔?
???
「はいはい、反抗的な使い魔はみんなそう言うんです。少し静かにしていましょうね」
グリム
「ふがふが!」
それに新入生って何のこと?
この人が何を言っているのか、私にはチンプンカンプンだ!
鞭で縛られたグリムは、更に口を塞がれて、男の人の手に荷物のようにぶら下がるという結構哀れな格好になった。
???
「まったく。勝手に扉を開けて出てきてしまった新入生など、前代未聞です!」
ユウ
「新入生って何のことで……」
???
「ハァ……どれだけせっかちさんなんですか」
この人、全然人の話聞かねえ!!
???
「さあさあ、とっくに入学式は始まっていますよ。鏡の間へ行きましょう」
ユウ
「か、鏡の間?」
???
「貴方が目覚めた、たくさんの扉が並んでいた部屋ですよ。この学園へ入学する生徒は、全てあの扉を潜って、この学園へやって来るのです」
さっきの部屋のことかな?でも、たくさんの棺はあったけど扉なんて一つもなかったような……
???
「通常、特殊な鍵で扉を開くまで生徒は目覚めないはずなんですが……」
ユウ
「あ、そっか。あの大量の棺が“扉”だったんだ」
納得納得〜……って、結局何も解決してない!!