【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
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知らない部屋、知らない廊下、知らない景色……
どこかの博物館か何かだろうか、洋風で立派な建物の中を私は道もわからず走り回った。
ユウ
「夢ならっ……はや、く……醒めてよっ」
息も切れ切れに辿り着いたのは、大きな本棚がズラリと並んだ図書室らしき部屋。
ここなら、隠れられるかな……
本棚の陰に座り込んで、私は切れた息を整えた。
ユウ
「いったい何なの、この変な夢は……」
さっきの狸……グリムって言ったっけ?グリムは、私の服を欲しがってたみたいだけど……
ユウ
「何でパジャマなんか欲しいの──あれ?」
徐に視線を下げた私は、自分の腕と足、それが纏う見慣れない服に目を見開いた。
ユウ
「な、何この服……」
逃げるのに必死で気付かなかったけど、今の私は見慣れない格好をしてた。
厚めの重たい布、色は表地が黒で裏地は紫、どちらにも金色の刺繍が施されてて……なんか高そう。
裾は地面スレスレくらい長くて、上着の袖も長い……頭にはフードを被っている。
ユウ
「……これって、ローブだよね?着るの初めてだ」
何で私、こんな格好してるんだろう……
ボウッ
ユウ
「!!」
グリム
「オレ様の鼻から逃げられると思ったか!ニンゲンめ!」
ユウ
「わっ!また出た!」
目の前にグリムが現れて、私の顔を得意げに指差して来る。
図書室の中は明るくて、グリムの姿がさっきの棺の部屋より鮮明に見える。
グリムは、よく見たら狸じゃなくて猫っぽかった。
両耳にトーチみたいに青い炎が灯ってることと、先が三叉槍みたいに尖った尻尾をのぞいて……
グリム
「さあ、丸焼きにされたくなかったら、その服を──」
ビシッ バシッ
グリム
「ふぎゃっ!?」
グリムが私の服に前足をかけたその時、鋭い音が2度図書室の中に響いた。
グリム
「痛ぇゾ!なんだこの紐!」
???
「紐ではありません。愛の鞭です!」
そう言って現れたのは、変な格好をした男の人だった。