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【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!

第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編


◇◆◇◆◇◆


知らない部屋、知らない廊下、知らない景色……


どこかの博物館か何かだろうか、洋風で立派な建物の中を私は道もわからず走り回った。


ユウ
「夢ならっ……はや、く……醒めてよっ」


息も切れ切れに辿り着いたのは、大きな本棚がズラリと並んだ図書室らしき部屋。


ここなら、隠れられるかな……


本棚の陰に座り込んで、私は切れた息を整えた。


ユウ
「いったい何なの、この変な夢は……」


さっきの狸……グリムって言ったっけ?グリムは、私の服を欲しがってたみたいだけど……


ユウ
「何でパジャマなんか欲しいの──あれ?」


徐に視線を下げた私は、自分の腕と足、それが纏う見慣れない服に目を見開いた。


ユウ
「な、何この服……」


逃げるのに必死で気付かなかったけど、今の私は見慣れない格好をしてた。


厚めの重たい布、色は表地が黒で裏地は紫、どちらにも金色の刺繍が施されてて……なんか高そう。


裾は地面スレスレくらい長くて、上着の袖も長い……頭にはフードを被っている。


ユウ
「……これって、ローブだよね?着るの初めてだ」


何で私、こんな格好してるんだろう……


ボウッ


ユウ
「!!」


グリム
「オレ様の鼻から逃げられると思ったか!ニンゲンめ!」


ユウ
「わっ!また出た!」


目の前にグリムが現れて、私の顔を得意げに指差して来る。


図書室の中は明るくて、グリムの姿がさっきの棺の部屋より鮮明に見える。


グリムは、よく見たら狸じゃなくて猫っぽかった。


両耳にトーチみたいに青い炎が灯ってることと、先が三叉槍みたいに尖った尻尾をのぞいて……


グリム
「さあ、丸焼きにされたくなかったら、その服を──」


ビシッ バシッ


グリム
「ふぎゃっ!?」


グリムが私の服に前足をかけたその時、鋭い音が2度図書室の中に響いた。


グリム
「痛ぇゾ!なんだこの紐!」


???
「紐ではありません。愛の鞭です!」


そう言って現れたのは、変な格好をした男の人だった。


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