【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第2章 【WelcomeToTheVillains'World】中編
デュース
「とっ、とにかく!学園長からの命令なら、真面目に取り組むことだ」
ユウ
「ほら、デュースくんもこう言ってるよ」
エース
「はいはい。わかりましたよ〜っと……んじゃ、パパッと始めますか。……ん?」
ユウ
「………あれ?」
グリムは……どこ?
エース
「あっ!毛玉がいない!」
急いで外へ出てみると、あろうことかグリムは既に遠くの方へと逃げていた。
グリム
「へっへーん!あとはオマエらに任せたんだゾ!ばいばーい!」
やけに静かだと思ったら、逃走図ってたなんて!
エース
「あんにゃろ〜、オレを身代わりにしたな!?」
自分のことを棚に上げて、エースが怒る。
ユウ
「今度はグリムを捕まえなきゃなんて……」
エース
「おい!えーっと、ジュース?」
デュース
「なっ、ジュースじゃない。デュースだ!でゅっ!」
デュースが、でゅっ!と強調するのを見て、不覚にもキュンときてしまった。
見た目カッコ良さげなのに、ムキになってんの可愛いな〜……こういうのに世の女の子は萌えるわけね。共学だったらモテそう。
エース
「お前にも責任あんだから、あの毛玉捕まえるの手伝えよ!」
デュース
「何で僕が!?」
あ、今は萌えとかモテとか考えてる場合じゃなかった……
エース
「そっちの冴えないチビは、魔法使えないから戦力外!」
ユウ
「冴えないは余計だ!でも、チビと戦力外は認める!」
デュース
「認めるのか……」
本気になったグリムを、私にはどうにも出来ないのは確かだもん。
ユウ
「じゃあ、僕は先に窓拭き始めてるよ。学園長が覗きに来たときの言い訳も」
エース
「おっ、良い心がけじゃん」
エースがニヤリと笑うのを見て、私はその顔にビシッと指をさした。
ユウ
「もうサボろうとしないでよ!絶対に、グリムを連れて戻ってきてよ!?」
エース
「わーってるよ。行くぞ、ジュース!」
デュース
「だから『でゅ』だって言ってるだろう!」
エースとデュースは、グリムを追いかけてメインストリートの方へ走っていった。
それを見届けてから、私は大食堂の方へ歩き出す。
……戻って来なかったら、容赦なく学園長にチクってやるんだから!