【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
【HEROINE side】
ゴトッ
──この音は……?
そう思って目が覚めた時、私は真っ暗闇の中に居た。
まだ真夜中なのかな……さっきの音は、何だったんだろう……?
うう、怖い夢を見てた気がする……
???
「やべえ!そろそろ人が来ちまうゾ。早いところ制服を……」
誰かの声が聞こえる……聴き覚えのない声だけど、なんか焦ってるっぽい?
???
「うーん!!!この蓋、重たいんだゾ」
ゴトトッ
!またこの音……あれ?
起き上がろうとしたら、私は自分の体が動かせないことに気付いた。
な、何で!?……金縛り?
???
「こうなったら……奥の手だ!ふな゙〜〜〜〜!それっ!」
ボガァッ!
ユウ
「ぎゃーーーー!?!?」
一際大きな音が鳴ったと同時に視界が明るくなり、真っ青な光が目の前を横切った。
な、何これ!?
ユウ
「熱っ…え、火!?」
???
「さてさて、お目当の……って、ギャーーーーーー!!!!」
ユウ
「ギャーーーーーー!!!!」
なんか居る!灰色の毛の……狸?
???
「オマエ、なんでもう起きてるんだ!?」
ユウ
「た、狸が喋った!?」
???→グリム
「誰が狸じゃーーーー!!!!オレ様は、グリム様なんだゾ!」
あ、体動く……あれ?ここ、布団の上じゃない?
いきなりブチ切れた狸に驚きつつ、私は目の前の景色がまったく見覚えのないものだという事に気付いた。
暗い空間、石畳の床、“宙に浮かんだ”棺の数々、人の言葉を喋る狸……
私は自分の部屋で、布団の上で、寝てた筈なのに……
グリム
「まあいい。そこのニンゲン!オレ様に、その服をよこすんだゾ!」
青い炎の狸……グリムは私の服を指差すと、よく見れば愛らしい顔でニヤリと笑った。
グリム
「さもなくば……丸焼きだ!」
ボウッ
ユウ
「!!」
グリムの周囲に真っ青な炎が燃え上がる。
あ、これ夢だ……なーんだ夢か、夢だよね……
ユウ
「狸に丸焼きにされる夢なんて斬新過ぎる!」
グリム
「だから狸じゃねーって言ってるんだゾ!」
夢でもとりあえず逃げなきゃと、私は狸に背を向けて走り出した。