【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第2章 【WelcomeToTheVillains'World】中編
◇◆◇◆◇◆
グリム
「オラァ!エースはどこだ!隠し立てすると、ただじゃおかねーんだゾ!」
エースのクラスの教室にたどり着くやいなや、グリムは勢いよくドアを開けて中へ怒鳴り込んだ。
けど、教室の中には一人の生徒の姿もない。
グリム
「……って、もう誰もいない〜!?」
やっぱりね!
壁の肖像画
「いいや。私がいるよ」
ユウ
「うわっ!?」
グリム
「ふぎゃーーー!!!絵がしゃべった!?」
急に話しかけてきたのは、教室の壁に飾られた一枚の肖像画……に描かれた老紳士。
え、絵が喋るなんて、そんな学校の七不思議じゃあるまいし……
壁の肖像画
「なんだい?しゃべる絵画なんか、この学校じゃ珍しくないだろう?あっちの壁の貴婦人も、こっちの壁の紳士もみんなおしゃべりするよ。肖像画には口があるんだから、おしゃべりもするってものさ。普通のことだろう?」
しかもめっちゃ饒舌。
ユウ
「普通、絵はしゃべらないと思うんですが……」
壁の肖像画
「君の“普通”と私の“普通”は違う。個性は尊重しあってこそだ。そうだろう?」
先に普通っつったのそっちじゃん!
グリム
「はっ!わかったんだゾ!オマエ、オンボロ寮のゴースト達の仲間だな!」
幽霊が宿った絵ってこと?
壁の肖像画
「私は、ふわふわ落ち着きなく漂ってる連中と違って、この壁に50年以上落ち着いて座っているけどね」
ゴーストの仲間で正解だった。
壁の肖像画
「それで?君たち、誰かを探してるのかい?」
ユウ
「この教室の生徒の、エース・トラッポラくんを探してます」
グリム
「顔にハートが描いてある、もさもさ頭のヤツだゾ!」
壁の肖像画
「ああ、知っているとも。今日から入ってきた新入生だね。少し前に寮に戻っていったようだけど……」
やっぱりね!(2回目)
グリム
「にゃに〜!あの野郎、やっぱり逃げやがったんだゾ!どっちに行ったかわかるか!?」
壁の肖像画
「寮への扉は、東校舎の奥さ」
グリム
「ユウ、追いかけるんだゾ!」
ユウ
「うん」
私は、肖像画の老紳士に「ありがとうございました!」と頭を下げて、グリムと一緒に教室を後にした。