【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第2章 【WelcomeToTheVillains'World】中編
私とグリムは寮を出て、まず正門に向かった。
図書館の方に続くというメインストリートは、探すまでもなく……大きな通り道として、正門から真っ直ぐに伸びていた。
グリム
「ふわぁ〜……スゲーんだゾ。ここがメインストリートか」
ユウ
「こんな大きな道が学校の敷地内にあるなんて、すご」
ナイトレイブンカレッジって、敷地面積どれくらいあるんだろ?
ユウ
「まずは、掃き掃除から始めよっか」
グリム
「昨日はよく見てなかったけど、この石像は誰だ?」
ユウ
「無視すんな!」
グリムが、近くにある石像に近寄っていく。
メインストリートの両側には石像が7つ立っていて、それぞれ誰かしらの人物を象っているようだった。
グリム
「7つあるけど、なんかみんなコワイ顔。このおばちゃんなんか、特に偉そうなんだゾ」
ユウ
「歴代の校長先生とかじゃないの?」
学校にある像なんて、校長先生か二宮金次郎かロダンの考える人って相場が決まってるし。
???
「ハートの女王を知らねーの?」
ユウ
「!」
突然、後ろから誰かに声をかけられた。
振り向くとそこには、一人の男子生徒が立っている。
赤みがかった茶髪、赤い瞳、左目辺りに描かれたハートマークが目を引く人だった。
ユウ
「えーっと……」
突然声かけられてもどう返したらいいのか……とりあえず、愛想笑い!
グリム
「ハートの女王?偉い人なのか?」
???
「昔、薔薇の迷宮に住んでた女王だよ」
頭に冠を乗せたふくよかな女性……ハートの女王の石像を示して、その男子は楽しそうに話し始める。
ハートの女王……どこかで聞いたような……?
あ、思い出した……入学式でグリムが暴れた時、首輪を付けて封じた上級生が言ってたのを聞いたんだ。
???
「規律を重んじる厳格な人柄で、トランプ兵の行進も薔薇の花の色も一切乱れを許さない。マッドな奴らばっかりの国なのに誰もが彼女には絶対服従。……なんでかって?規律違反は、即打ち首だったから!」