【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第2章 【WelcomeToTheVillains'World】中編
クロウリー
「急に慣れない環境へ放り込まれたのですから、不安なのも当然です。ですが、現実は往々にして厳しいもの……受け入れて前に進みましょう!」
言ってることはもっともなんだけど、なんか学園長から言われると腹立つ。
お前が言うな!!!
クロウリー
「さて、そんなわけで本日のお仕事についてお話があります。今日のお仕事は、学園内の清掃です」
ユウ
「はい」
クロウリー
「清掃といっても、学園内は広い。魔法なしで全てを掃除し終えることは無理でしょう。ですので、本日は正門から図書館までのメインストリートの清掃をお願いします」
ユウ
「わかりました」
メインストリートか……学園内の地理についても、覚えていかなきゃね。
クロウリー
「いいですか、ユウくん。昨日のような騒ぎを起こさないよう、グリムくんをしっかり見張っていてくださいね」
ユウ
「えー、いまいち自信ないんですが……」
グリムが本気で暴れたら、私一人で止めるのは無理な気がする。
クロウリー
「頼みましたよ。昼食は学食で摂ることを許可します。お金もいくらか渡しておきましょう」
学園長から数枚の紙幣を受け取る。
まったく見たことないお金だった。
クロウリー
「では、しっかり業務に励むように」
学園長が去っていくのを見送って、私はローブから制服に着替え始める。
グリム
「ちぇっ……掃除なんてやってられねぇんだゾ」
グリムがパン屑を付けた顔で、文句を垂らす。
グリム
「オレ様も魔法の授業で、バーン!ドドドーン!って、カッケー魔法打ちまくりたいんだゾ〜」
ユウ
「まあまあ……掃除が終わったら、図書室で勉強しようよ」
私がそう言っても、グリムはまだ不満な様子で、ブツブツと文句を言っていた。
◇◆◇◆◇◆
洗面所で、さっき綺麗にした鏡に映る自分を見つめる。
ユウ
「……さよなら、私の一部達」
なんてキモいことを言ってみながら、私は自分の髪にハサミを入れた。
元々短いけど、更に短く切っていく。
女ってバレないように、男に見えるように。
ユウ
「……よし、いい感じ!」
倉城悠の私から、ユウ・クラシロの僕へ──!