【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第9章 【荒野の反逆者】中編
ジェイド先輩とフロイド先輩を背に、私たちはこの場から走り出した。
デュース
「うわ、追いかけてくるぞ!」
まるで鬼ごっこで遊んでるみたいに、ジェイド先輩とフロイド先輩は笑いながら私たちを追いかけてくる。
脚が長い分走り方に勢いがあって、迫力もあって、正直めっちゃ怖い。
フロイド
「ねーねー、待って〜」
リドル
「そう言われて誰が待つんだ!総員退却!」
逃走に拍車をかけながら、リドルくんは強く私の腕を引く。
ユウ
「待っ、そんな引っ張らないで!」
叫んでも、リドルくんもケイト先輩も離してくれない。
ユウ
「〜〜〜っ」
あーもう!何で逃げるのかわかんないけど、私一人踏ん張っても意味なさそう!
ユウ
「フロイド先輩、ジェイド先輩、ごめんなさーい!」
結局私は必死に足を動かすことしか出来なくて、ジェイド先輩とフロイド先輩に謝りながら、みんなと共に中庭を後にした。
【NARRATION】
ユウ
「フロイド先輩、ジェイド先輩、ごめんなさーい!」
ユウの大声を最後に、リドルたちはバタバタと中庭から去る。
フロイド
「あー。行っちゃった」
ジェイド
「ふふふ、楽しい追いかけっこでしたね」
やがて姿が見えなくなると、フロイドとジェイドは彼らを追いかけるのをやめた。
フロイド
「ねー、ジェイド。金魚ちゃんと一緒にいたチビちゃん、誰?」
ジェイド
「恐らく、噂に聞くオンボロ寮の監督生さんでしょう。前にアズールが、興味深そうに話していました」
フロイド
「ふ〜ん」
ジェイド
「彼が気になりますか?」
フロイド
「別に〜?オレを苦手って言ってたくせに、目ぇ逸らさずじーっと見上げてきたのが、なんかムカついただけ」
フロイドは、さっきまでこの場に居たユウのことを思い浮かべる。
リドルよりも小さな身体でありながら、真っ直ぐにフロイドを見返したユウの黒い瞳を……
ジェイド
「……おっと、フロイド。そろそろラウンジの開店準備の時間です。彼らと遊ぶのは、また今度にしましょう」
フロイド
「はーい」