【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
クロウリー
「ああ、そうですね。いつまでも式典服のままというのも窮屈でしょうし……特別に、我が校の制服を貸し出して差し上げます」
ユウ
「ありがとうございます」
このローブ式典服って言うんだ……この学校での正装的なものなのかも。
クロウリー
「それと、言い忘れていましたが」
ユウ
「?」
クロウリー
「貴女にはこれから男性として生活していただきます」
ユウ
「はい!?」
何で!?
いくら男子校だからと言っても、私は生徒じゃない訳で……そこまでする必要はないように感じる。
クロウリー
「我が校の生徒はもちろん、教師にも出入り業者にも女性はほとんど居ません。これからこの寮で暮らす貴女が女性だと知られれば、生徒達の衛生面に悪影響を及ぼす可能性がある!」
ユウ
「それはっ……分からなくもないですけど、いくらなんでも……」
クロウリー
「名門魔法士養成機関として、それは頂けない。……わかっていただけますね?」
私は頭を抱えたくなった。
残念ながら、私に拒否権は無いんだよね……
ユウ
「わ、わかりました……」
クロウリー
「よろしい。では、また明日来ます」
満足そうに頷いて、クロウリーさん……もとい学園長は、この寮を後にした。
グリム
「なんだ?オマエ、女だったのか?」
グリムが私を指差して、「全然見えないんだゾ!」とケタケタ笑う。
ユウ
「うるさいなぁ……」
その憎たらしい顔をつねってやりたい衝動をなんとか抑えて、私はその場で盛大な溜息を吐いた。
◇◆◇◆◇◆
クロウリーさんが去ったことで、寮は再び私とグリムの2人だけになった。
とりあえず寝る場所が必要だから、ベッドのある部屋を掃除する。
グリム
「何でオレ様が雑用係なんだゾ……」
グリムは、まだ不満そうな顔してる。
ユウ
「でもまあ、学園から追い出されないだけ良いじゃない。図書館で勉強すれば、いつか魔法士になれるかもだよ」
ベッドにシーツを掛けながら、私はグリムに話しかけた。