【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ポンと、ケイト先輩がリドルくんの肩を軽く叩く。
ケイト
「まーまー!リドルくん。そんな暗くなってもしょーがないって。トレイくんの怪我は残念だったけど、その分リドルくんが超頑張ればいいじゃん♪」
リドル
「あ、ああ。そうだね」
そのまま、ケイト先輩はリドルくんの背中を押した。
ケイト
「ささ、もう怪我人はゆっくり休ませてあげよ。退散、退散〜」
ケイト先輩は部屋の外へ向かいながら、「ほら、ユウちゃんたちも!」と私たちを急かす。
ユウ
「は、はい!」
エース
「はーい」
そうだよね……いつまでもトレイ先輩の部屋にお邪魔してるわけにはいかないよね。
重症なのは心配だけど、私たちが不安がってたらトレイ先輩に気を遣わせちゃうかもだし……
デュース
「クローバー先輩、失礼します」
グリム
「オレ様のツナ缶、ありがたく食べて元気出すんだゾ」
ユウ
「トレイ先輩、お大事に!またお見舞いに来ます」
トレイ
「ああ。今日はありがとな」
私たちは、トレイ先輩の部屋を後にした。
扉を閉めるその瞬間まで、トレイ先輩が笑みを絶やすことはなかった。
◇◆◇◆◇◆
ケイト先輩の背中を追って、たどり着いたのはハーツラビュル寮の談話室。
みんな自分の部屋に居るのか、他の寮生の姿はなかった。
くるりと振り向いて、リドルくんはケイト先輩を見つめる。
リドル
「で、ケイト。何かトレイの前では言いにくい話があるんだろう?」
ケイト
「さすがリドルくん。話が早いね」
ユウ
「僕たちを急かしたのは、そういう理由だったんですね」
トレイ先輩の前で言いにくい話って何だろ?
ケイト先輩が、リドルくんから私へと目線を移す。
ケイト
「ユウちゃんたち、トレイくんの怪我について何か知ってるんじゃない?」
ユウ
「!」
エース
「あーっと、それは……」
エースが、チラリと私を見る。
デュース
「?」
デュースには話してなかったから、何の話かわからず首を傾げてる。
リドル
「ユウ?」
私は、一つ頷いて、口を開いた。
ユウ
「実は……」