【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
リドルくんは、トレイ先輩が怪我した時のことを話してくれた。
リドル
「用事があって、昼休みに3年生の教室へ行ったんだ。その時……」
【NARRATION】
数時間前───
本校舎-階段
用事を済ませた後、リドルは2年生の教室へ戻るため階段に向かっていた。
降り始める前に、一緒にいたトレイの方へ顔を向ける。
リドル
「ボクは少し遅れるから、マジカルシフトの練習は先に始めてて」
トレイ
「わかった」
リドル
「じゃあ、よろしく」
リドルが、階段へ足を下ろす……
リドル
「……っうわっ!?」
その足は、段差を踏み外してしまった。
トレイ
「リドル!危ないっ!」
バランスを崩すリドルの体を、トレイが腕を伸ばして庇う。
しかしトレイもバランスを崩してしまい、2人はそのまま階下へと転げ落ちてしまった。
衝撃が終わり、リドルが目を開けた時、そこには……
リドル
「!!トレイ……!?」
右足を抑えて苦しげに呻く、トレイの姿があった。
【HEROINE side】
リドル
「──階段から落ちかけたボクを庇ったばかりに、トレイが怪我を……」
トレイ
「お前なら、飛行術で受け身がとれてたと思うぞ。俺が勝手にしくじっただけだから、もう気にするなって」
リドル
「でも……」
ユウ
「………」
階段から落ちかけたのは、リドルくんの方だった……トレイ先輩はそれを庇って……
エースが、私の耳元に口を寄せる。
エース
「ユウ、これってさ……」
ユウ
「うん……やっぱり、ただの事故じゃない」
狙われたのはリドルくんの方だった。
リドルくんを、わざわざトレイ先輩の目の前で怪我させようとしたのは、ただ事故と見せかけるため?
本当にリドルくんを怪我させたかったなら、副寮長であるトレイ先輩の目の前で行うのは得策とは思えない。
犯人は、トレイ先輩が庇うのを見越して、“2人ともを狙った”んだ。
私は、事件を確信して、犯人への怒りに震えた。
許せない……!!
ケイト
「………」