【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ユウ
「はーい。どちら様ですか?」
鍵を開けてドアを引くと、そこにはエースが居た。
ユウ
「エース?」
エース
「おーっす。あれ、グリムは機嫌が直ったみたいじゃん」
部活帰りに、グリムの様子を見にきてくれたみたい。
グリム
「なんだ、オマエか。今オレ様は忙しいから、遊んでやるヒマはねーんだゾ」
エース
「忙しい?宿題終わらねーの?」
ユウ
「えーっと……」
少し考えたけど、特に隠す必要もないので、私は今までのことをエースに説明した。
エース
「ふーん。不審な事故による怪我、ねえ」
グリム
「でも話を聞いてるうちに、全員がおっちょこちょいか、大会が楽しみで浮かれてるだけなんじゃねーかって思ってきたんだゾ」
ユウ
「僕は事件だと思ってるんだけど……」
その時、忙しない足音がオンボロ寮に駆け込んで来た。
デュース
「エース!ユウ!大変だ!」
現れたのは、息を切らしたデュース。
ユウ
「デュース!どうしたの!?」
エース
「ん?なんだよそんな慌てて……」
何かあったのかな……
デュース
「クローバー先輩が、階段から落ちて怪我をしたって……!」
「「「えっ!?」」」
グリム
「ふな゙っ!まさかあの食えない眼鏡のトレイも?」
ユウ
「トレイ先輩……!?」
顔から血の気が引いて、拍動が痛いくらい早まる感覚に、私はギュッと両手を握り込んだ。
落ち着け落ち着け落ち着け……慌てるのは後!
私は緊張を払うように首を横に振って、一つ深呼吸をした。
ユウ
「……トレイ先輩が浮かれてたとは思えない」
やっぱりこれは、ただの事故じゃない。
エース
「確かに、トレイ先輩はウッカリで転んだりはしなさそう」
これにはさすがのグリムもおかしいと思ったらしく、私とエースに大きく頷く。
グリム
「話を聞きに行ってみるんだゾ!」
ユウ
「うん!」
トレイ先輩、怪我の具合はどうなんだろう……どうか重症じゃありませんように!
ハーツラビュル寮に向かう中、私はずっとそう祈っていた。