【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
あ、手袋返し忘れてた。
ユウ
「すみません、こちらもお返しします」
ポムフィオーレ寮生A
「あ、ああ……」
ユウ
「では、僕たちはこれで失礼します。お大事になさってくださいね」
ポムフィオーレ寮生A
「ふ、ふん……君に心配される筋合いはないよ」
最後にもう一度頭を下げて、私とグリムは教室を後にした。
◇◆◇◆◇◆
その後も、何人かの怪我を負った生徒に話を聴きに行き、私とグリムは一度オンボロ寮に戻った。
私はノートを持って、テーブルにつく。
みんなから聴き込みで得た話を、忘れないうちに一通りノートにまとめた。
ユウ
「うーん……どの人の話にも、不可解というか、要領を得ない部分あるけど……」
ノートを覗き込みながら、グリムはテーブルの上に腰を下ろす。
グリム
「なーんか、どいつもこいつもおっちょこちょいってカンジしかしねーんだゾ。やっぱり事件じゃないんじゃねーのか?」
ユウ
「ただの事故って思うには、さすがに不自然だよ」
ほとんどの人が“気付いた時には”と話してた。
グリム
「オマエは事件だと思ってんのか?」
ユウ
「うん……だって、被害者全員がマジフト大会の選手有力候補なんて、絶対おかしいじゃん」
グリム
「でも、誰も周りに不自然なヤツはいなかったって言ってたんだゾ」
ユウ
「犯人が魔法士なら?」
グリム
「!」
ユウ
「例えば、相手の意識を逸らす魔法とか、透明になれる魔法とか……」
この世界には魔法が存在するんだから、犯人が魔法を使った可能性だってある。
グリム
「……オマエの考え過ぎじゃねぇのか?」
ユウ
「めんどくさいからってテキトーなこと言わないで!大体、ちゃんと解決しなきゃマジフト大会出させて貰えないかもしれないよ。それでも良いの?」
グリム
「ぐぬ……」
ドンドンドン
私がグリムを言い負かした直後、誰かがオンボロ寮の玄関ドアをノックする音が聞こえてきた。
グリム
「ん?誰だ?」
ユウ
「学園長かな?」
私は立ち上がって、玄関に向かう。