【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ユウ
「怪我のせいで気が立っていたんですよね?僕たちが先輩を傷つけてしまったことは謝ります。……でも、だからって!自分の怪我を悪化させるような真似しないで下さい!」
ポムフィオーレ寮生A
「……ふんっ」
私の手からマジカルペンを取ると、先輩は顔を逸らしてしまう。
ユウ
「………」
もう、話を聞くのは無理かな……仕方ないけど……
ポムフィオーレ寮生A
「怪我をして、苛立っていたのは事実だ……」
ユウ
「えっ」
ポムフィオーレ寮生A
「仕方ない。キミの気遣いに免じて、あの日のことを教えてあげよう」
ユウ
「あ、ありがとうございます!」
なんでか知らないけど、話してくれるみたい。
何にせよ良かった!
怪我をした先輩の隣に、もう一人の先輩が立つ。
ポムフィオーレ寮生B
「あれは、実験室でのことだ。薬を煮出してる鍋を、急に彼が素手で掴んでしまい、教室は騒然さ!」
ユウ
「火にかけた鍋を素手で!?」
ひぇー……想像しただけでゾッとする。
ポムフィオーレ寮生B
「しかも、薬をひっくり返して机の上はびしゃびしゃ。僕は本当に驚いたよ!」
ポムフィオーレ寮生A
「全部キミがしゃべるのかい!?」
鋭いツッコミ!……って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
先輩の話からすると、この事故は授業中に起こったってことで……誰かの仕業なら、先生や他の生徒の目もある中で犯行に及んだことになる。
ユウ
「その時……誰かとぶつかったり、声をかけられたりしませんでしたか?」
ポムフィオーレ寮生A
「いいや、何も」
ユウ
「意識が遠のいたとか……」
グリム
「授業がつまんなくてボーッとしてたんだゾ?」
ポムフィオーレ寮生A
「この僕がそんな無様な事故を起こすわけないだろう!僕は実験に集中していたさ!それなのに、何故か気付いた時には鍋を素手で掴んでいたんだ」
ユウ
「“気付いた時には”……」
その言葉は、ハーツラビュルの先輩の話と重なる。
グリム
「ふむふむ。なるほど」
ユウ
「……ありがとうございました、先輩方」