【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ユウ
「そんな……」
グリム
「ふなぁ……ニンゲンはオレ様みたいに胃袋が丈夫じゃねぇんだゾ」
フェイン
「魔法薬ってのは扱いが難しいものなんだよ」
フェイン先生はため息をつきながら、籠の中の小瓶を見つめる。
フェイン
「俺に出来るのは、傷を悪化させない処置と、治りを早める魔法薬まで。それも、これ以上数が増えれば回らなくなる」
怪我人はこれ以上増やせない……事件なら、一刻も早く止めないと……!
ユウ
「フェイン先生、事故に遭った生徒全員の所属を教えてもらえませんか?」
フェイン
「うん、いいよ。丁度メモしたのがあった」
フェイン先生は白衣のポケットから折り畳んだ紙を取り出して、私に手渡してくれた。
フェイン
「昨日までの事故に遭った生徒の名前、所属寮、学年、クラス、怪我の内容が書いてある。俺は調査は手伝えないけど、そのメモで良ければ持ってって」
よし、これで聴き込みがし易くなる。
グリム
「早速、次のヤツのとこに行くんだゾ!」
ユウ
「うん。フェイン先生、ありがとうございました!」
私はフェイン先生に頭を下げて、メモを手に歩き出した。
◇◆◇◆◇◆
程度にもよるけど、怪我してる人は多分部活は休んでるよね……と予想して、私は教室の方に向かう。
目的の教室に入ると、怪我をしたらしき生徒の姿を見つけた。
グリムが早速駆け寄り、彼の机の上に飛び乗る。
グリム
「なあなあ。オマエ、こないだ大怪我しかけたヤツだろ?ちょっと話聞かせてくれよ」
グリムったらまた不躾に!
私はグリムを押さえながら、その相手……ポムフィオーレ寮の先輩2人に頭を下げた。
ユウ
「いきなり、すみません!」
ポムフィオーレ寮生A
「いきなりなんなんだい、キミたち」
2人のうち、右手に包帯を巻いてる人が、訝しげに私とグリムを見る。
ユウ
「オンボロ寮のユウ・クラシロといいます。突然押しかけて申し訳ないんですが、あの……先輩方に、怪我をした時の話をお聞きしたくて……」
私の話を聞いて、もう1人の先輩がキッと私とグリムを睨んだ。