【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
フェイン
「ごめんごめん。……で?保健室に来るなんて珍しいと思ったら、何捜査みたいなことしてんのさ」
ユウ
「……学園長の命令で、」
私は、フェイン先生にここ数日の事故について調査を始めたことを説明した。
フェイン
「なるほどねぇ……俺も、さすがに怪我人多すぎて変だとは思ってたけど」
ユウ
「保健室の利用者も増えたって、学園長から聞きました」
フェイン
「そう!めっちゃ増えててさ、俺の手も薬も足りないよまったく……今も、追加の魔法薬ソッコーで調合して来たところだし」
そう言って、フェイン先生は手に持ってた籠を私の目線の高さまで持ち上げた。
籠の中には何本も小瓶が入っていて、軽くぶつかりあってカチャカチャと高い音が立つ。
ユウ
「魔法薬……」
そっか、保健室にいたハーツラビュルの先輩たちは、フェイン先生の薬待ちだったんだ。
フェイン
「ねぇねぇユウちゃん。俺が、怪我人全員治してマジフト大会に無事出場させてあげられたら、凄いと思わない?」
ユウ
「え!?そんなこと出来るんですか!?」
あ、でも、この魔法世界なら怪我を一発で治しちゃうのも、もしかしたら……
フェイン
「まー、無理なんだけど」
ユウ
「無理なんかい!!!」
何でそんな酷い冗談言うの!!??
すごく怒りたかったけど、フェイン先生が疲れたように笑うから、それは憚られた。
フェイン
「いや〜……怪我を即治す魔法薬なんて、調合する時間も、材料も、ついでにお金も足りないし」
ユウ
「!」
つまり、怪我を一発で治せる魔法薬は、存在するには存在してるってこと?
グリム
「時間がかかったって作っちまえば良いんだゾ!」
ユウ
「そうですよ!材料とお金は、それこそ学園長にお願いすれば……」
フェイン先生は、首を横に振る。
フェイン
「たとえ作れたって、そんな強い薬、身体が未発達な学生には危険過ぎて使えないよ」