【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ユウ
「……その時、近くに誰か居ませんでしたか?」
ハーツラビュル寮生A
「居なかったと思うぜ」
ハーツラビュル寮生B
「ああ。よく周りを見たわけじゃないけど、部活時間も終わってたしな」
ユウ
「なるほど……」
もし誰かの仕業なら、人気のない時を狙った可能性がある……
グリム
「ふむふむ。なるほど」
グリムは腕を組んで頷いてる。
本当にわかって言ってるのかは怪しいところだけど。
ユウ
「ご協力ありがとうございました」
2人にお礼を言って、私はグリムとその場を後にした。
保健室から出る直前、チラリと先輩たちを振り返る。
ハーツラビュル寮生B
「……悔しいけど、今年のマジフト大会は、諦めるしかないかもな」
ハーツラビュル寮生A
「……ああ。……くそっ、何でこんな時に……!」
ユウ
「………」
先輩たちの声を聞いて、私はギュッとドアノブを掴む手に力を入れた。
ずっと楽しみにしてた大会で、選手に選ばれるために練習してきたのに……怪我で欠場、なんて……悔しいに決まってる。
まだ本当に事件と決まったわけじゃないけど、これが何者かによる仕業なら……
ユウ
「許せない……」
小さく呟いて、私は保健室から出た。
グリムが、私の足にしがみ付いて、肩までよじ登ってくる。
さては自分で歩かない気だな、この猫。
グリム
「次はどこに行くんだゾ?」
ユウ
「えっと、次は……」
フェイン
「──2人して探偵ごっこ?」
グリム/ユウ
「ふぎゃっ!?/うわっ!?」
いきなり、すぐ間近から誰かに声をかけられた。
バッと左を見ると、そこには……
ユウ
「フェイン先生!?」
養護教諭のファニック・フェイン先生がいた。
フェイン
「あはははっ!良い反応するね〜、2人とも」
ユウ
「お、脅かさないでくださいよ!」
グリム
「急に出てくるんじゃねー!」
先生のクセに生徒を脅かすとは何事だ!
私は紫の髪を揺らしながら笑うフェイン先生を睨んで、グリムは毛を逆立てて威嚇する。