第8章 【荒野の反逆者】前編

クロウリー
「事件解決の暁には、君たちの寮にマジカルシフト大会出場枠を用意して差し上げましょう。どうです？私、とびきり優しいでしょう」


ユウ
「ほ、本当ですか！？」


グリム
「ふな……ふなぁ…！？」


私は驚愕に学園長の顔をジッと見つめて、飛び起きたグリムも口を開けたまま学園長を見ていた。


クロウリー
「大会に出られれば、その雄姿は世界中に放映。さらに満席のコロシアムの喝采を浴びることができますよ。『ひゅーひゅー！期待のルーキー・グリム選手の入場です！』なーんちゃって」


グリム
「や、やべぇ……その光景が目に浮かぶようなんだゾ……」


グリムの目が爛々と光る。


クロウリー
「ですが、今回はご協力いただけないんでしたよね。残念ですが、この話はなかったことに」


グリム
「ちょっと待った〜〜〜〜！やる！やるんだゾ！」


クロウリー
「おや？やるんですか？」


グリム
「大会に出してもらえるなら話は別だ！なっ、ユウ！」


ユウ
「う、うん」


学園長の演技が若干腹立つけど……私は、元々やる気だったし。


あ、でも……


ユウ
「マジフトって選手が7人必要なんですよね？オンボロ寮には僕たちだけですが……」


クロウリー
「そこはホラ。学園長がマジカルなミラクルで、何とかあと5人の選手を補填してあげます」


ユウ
「本当ですかぁ？」


クロウリー
「なんです？その疑いの眼差しは」


ユウ
「だって学園長って平気で嘘つくタイプじゃないですか」


クロウリー
「失敬な。嘘ではありませんよ」


私がいまいち信用出来ずにいると、グリムにグイグイと袖を引っ張られた。


グリム
「オイユウ、そんな細かいことは後でいいから、早速聞き込みに出かけるんだゾ！」


グリムはとっくにやる気満々な様子。


ユウ
「……わかった。じゃあ行こっか」


私が席から立ち上がると、学園長は満足そうに微笑んだ。


クロウリー
「2人とも、頼みましたよ」


私とグリムはオンボロ寮を出て、校舎に向かうためメインストリートへと歩き出す。


その道中で、私はふと考えた。


勉強どうしよう。