【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ユウ
「ねぇ、ディスクって素手で触ってもいいの?」
スティン
「素手で触んのは反則だが、まぁ……お嬢ちゃんは魔法が使えねぇし、今回は気にしなくて良いさ」
ファット
「ただし、円盤を持ってるヤツは、全員から魔法で妨害されるぜ。ヒッヒッヒ!」
ユウ
「あー、やっぱルール上はダメなんだ」
たとえ大会にオンボロ寮が出場出来ても、私は選手になれないね。
スティン
「では、ゲームスタート!」
レッチさん、ファットさん、スティンさんの守備チームと、グリム、私の攻撃チームに分かれて、マジフトのミニゲームが始まった。
グリム
「ユウ!オレ様について来るんだゾ!」
グリムが、魔法でディスクを浮かしながら走り出す。
私も一緒に駆け出した……けど、
ポテッ
グリム
「ふなっ!?」
数歩のところで、グリムはディスクを落としてしまった。
グリムが再び浮かせる前に、スティンさんにディスクを取られてしまう。
スティン
「いただきーっ」
グリム
「ふなぁー!!返すんだゾー!!」
ユウ
「対戦相手に『返せ』って言って返してくれるわけないじゃん」
スティン
「ヒッヒッヒ!ディスクは慎重に運ばなくちゃな!」
スティンさんは、「次は嬢ちゃんからやってみな」と私にディスクを投げ寄越した。
私はそれをキャッチして、少しの間考える。
マジフトって、バスケみたいなものだよね?
ユウ
「グリム、走って!」
グリム
「オレ様がディスクを運ぶんだゾ!」
ユウ
「後でまた渡すから、とりあえず走って!」
グリム
「ぐぬ……フン、今回は譲ってやるんだゾ」
グリムは渋々といった様子で、ゴール目掛けて走り出した。
私は、こっちに迫って来るレッチさんたちを避けながら、何とかディスクを守る。
……そろそろかな?
ユウ
「グリムー!パス!」
私は思いっきり、ディスクをぶん投げた。
シュルシュルと回転しながら、ディスクは緩い放物線を描き飛んでいく。
グリム
「ふなぁ!」
グリムはタイミングよく体を反転させて、ディスクを見事キャッチしてみせた。