【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
◇◆◇◆◇◆
オンボロ寮に帰った私は、談話室のソファーの上にグリムを下ろした。
グリム
「ふなぁ〜〜……」
ユウ
「ハァ……」
グリムの間の抜けた声を聞いて、私の口からも溜息が溢れる。
まずは、このグリムの脱力っぷりをどうにかしないと……
『寮に帰って、オヤツ食べて……』
私は、グリムを談話室に残してキッチンに向かった。
この寮、建物自体はボロいけど、家具やら道具やらは結構揃ってるんだよね。
キッチンとか、元の世界で暮らしてた我が家のより立派だし……
ガスは通ってなかったけど、ハーツラビュルの一件の後、学園長が何かご褒美をくれるっていうから、キッチンにガスを引いて貰った。
ついでに冷蔵庫もゲットした……明らかに中古だけど、文句は言えない。
私は、冷蔵庫を開き、中にある食材を眺めた。
ユウ
「うーん」
おやつとして食べれそうなものはないから、作るしかないか……
ユウ
「卵と牛乳はある……あ、プリン作れるじゃん」
確か、グリムの好物だったはず……
私は早速取り掛かろうと、材料と道具をテーブルに並べた。
電子レンジはないけど、まぁ何とかなるでしょ!
◇◆◇◆◇◆
数十分後───
ユウ
「……よし、完璧!あとは冷やすだけ」
完成したプリンを冷蔵庫に入れて、私は談話室に戻った。
グリムは、まだソファの上でゴロゴロしてる。
グリム
「あ゙〜……何もかもにやる気が出ねぇんだゾ〜……ソレもコレも、マジフト大会に出られないせいだ」
やっぱりそれが原因か……
ユウ
「ねぇ、まだ諦めつかないの?」
人数足りないんだから、しょうがないじゃん……私たちにどうこうできる問題じゃないし。
その時、ソファの周りにフワフワとゴーストたちが現れた。
スティン
「どうしたグリ坊。なんだか最近、毛艶が悪いな」
ファット
「マジカルシフト大会に出られなくて拗ねてるんだってさ〜。ヒッヒッヒ!」
ユウ
「ファットさん、そこつつくのやめて」
案の定グリムは、ムスッとした顔になってソファーの上に丸まってしまった。