【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
リリア
「うむ、確かに預かったぞ」
ユウ
「よろしくお願いします」
よし、ちゃんと伝えられた……って、やっぱり学園長たちからは伝わってなかったんだ。
薄情な人たちだなぁ……そんなに怖いのかな、マレウスさんって。
ガシッ
ユウ
「うわっ!?」
セベク
「人間が、気安くリリア様に近づくな!!」
襟を乱暴に掴んで、セベクが私をリリア先輩から引き離す。
セベク
「用件が済んだならさっさと出て行け!」
ユウ
「ちょっ、引っ張らないで!!」
そのままズルズルと引き摺るように、セベクは私を連れて門へと歩き出した。
首が締まる〜!
リリア先輩が、私に向けてヒラヒラと手を振る。
リリア
「ユウ、またいつでも遊びに来るが良い。今度はマレウスにも会ってやってくれ」
ユウ
「は、はい!お邪魔しましたっ」
首の気道を必死に確保しながら、私はリリア先輩を振り向いて小さく頭を下げた。
高身長のセベクが大股で歩けば、あっという間に門の外に出てしまう。
崖の道を戻って、鏡の前に辿り着いたところで、やっとセベクは私から手を離した。
ユウ
「もう!勝手に入ったのは悪かったけど、こんな乱暴にしなくたって……」
セベク
「人間、二度とディアソムニア寮に近づくなよ!」
最後にそう言い放って、セベクは私の背中を押した。
ユウ
「わあぁ!?」
私の体は鏡に飛び込んで、扉を抜けた先の鏡舎へと投げ出される。
ドサッ
ユウ
「痛たたた……!」
床に落ちたことで、背中やら腰やらを打ってしまった。
ユウ
「なんっなのよ、アイツ!」
リリア先輩は友好的なのに、セベクは極端に排他的……私のことを害のように扱う非道っぷり!
あんなにあからさまに敵意を剥き出しにされたら、誰だって腹立つに決まってる。
ユウ
「人の親切を、なんだと思ってんの……!」
私は、体の痛みが引くまで、怒りの限りディアソムニア寮の鏡を睨みつけた。
この後、オンボロ寮に帰ったらエースとデュースにめっちゃ怒られたのは、また別の話。