【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
リリア
「あやつに客人が訪ねて来るとは、喜ばしいことじゃ。マレウスも、知れば喜ぶに違いなかろうて」
ニコニコと笑うリリア先輩を見て、私は少しだけ安心することが出来た。
良かった、勝手に来たこと怒られたらどうしようかと思った……
セベク
「人間風情が、偉大なるマレウス・ドラコニア様に近づけるなどと思うな!!!!」
いや、めっちゃ怒られてるなセベクには!
ユウ
「人間風情って……」
セベク
「お前は、魔法を使えない、魔力をまったく持たない、正真正銘ただの人間だろう」
高い目線から、セベクが私を見下ろして来る。
馬鹿にされて見下されるこの感じは、初めて会った時のエースを思い出すなぁ……
ユウ
「僕は、オンボロ寮の監督生、ユウ・クラシロです」
私は、セベクの迫力に負けないように、その金緑の瞳を見返した。
ユウ
「今日は、ディアソムニア寮寮長、マレウス・ドラコニアさんにお伝えしたいことがあって来ました」
ハッキリと答えて、寮長会議の書類を突きつける。
リリア
「寮長会議?もしや、今日は寮長会議の日じゃったのか?」
ユウ
「はい。内容は、マジカルシフト大会についてで……学園長も他の寮長も、マレウスさんを呼び忘れてたらしいですけど」
セベク
「何だと!?若様を呼び忘れるとは何事だ!!!」
ユウ
「いちいち怒鳴らないでよ!僕のせいじゃないから!」
私はセベクを押し退けて、リリア先輩の前に立った。
ユウ
「マレウスさんに伝えてください。『殿堂入りの件は、他6人の寮長の過半数が反対したのでナシになりました』」
リリア
「ほう。それは……寮長らには感謝せねばな」
ユウ
「もう一つ、『選手の登録書類の提出期限は必ず守っ下さい。1日でも過ぎたら、アーシェングロット寮長に処理手数料を請求されてしまいます』」
リリア
「あいわかった」
私は、リリア先輩に書類を手渡した。
それを受け取って、リリア先輩が一つ頷く。