【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
こそこそしたって仕方ないから、姿勢は正してなるべく早足で歩く。
真っ直ぐに進んで、まもなく寮の玄関に着いた。
ユウ
「ふーっ」
緊張からドキドキと鳴る胸を、深呼吸をして落ち着ける。
マレウスさんか副寮長さんに直接会えれば一番良いけど、会えなかったら書類は寮生に預けて伝言して貰えれば……
既に誰かから寮長会議の内容が伝わってれば、勝手に入ったことを謝って帰ろう。
ユウ
「……うん」
私は、玄関扉のドアノッカーに手を伸ばした。
???
「──我が寮に何か用か?」
ユウ
「うわあぁあ!!??」
突然、背後から誰かの声がした。
それも息が耳にかかるぐらい近くで聞こえたもんだから、私は驚きのあまり弾かれたように扉にしがみつく。
恐る恐る後ろに目を向けると……
ユウ
「ヒッ!?」
逆さまの顔と目が合った。
???
「クフフフ。驚かせてしまったかの」
大きな赤い瞳、白い肌、黒い髪にショッキングピンクのメッシュ……
ユウ
「り、リリア先輩……」
軒先から逆さにぶら下がっていたのは、ディアソムニア寮のリリア・ヴァンルージュ先輩だった。
そういえば、前にもいきなり上から登場して驚かされたっけ……
???→リリア
「お主は、確かユウといったか」
ユウ
「は、はい」
リリア先輩は地面に降り立つと、顎に手を当てながら楽しそうに笑った。
リリア
「お主、中々見どころがあるのう。実に驚かし甲斐のある愉快な反応じゃった」
ユウ
「からかわないでください……」
絶対反応楽しんでるよこの人!!
リリア
「して、何故お主がここにおる?我がディアソムニア寮に何か用か?」
ユウ
「は、はい、あの……今日は、マレウスさんは……」
リリア
「ほう、これは驚いた。マレウスに客人とは!」
リリア先輩は目を見開いて驚きをあらわにした後、困ったように眉根を寄せた。