【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
せっかく殿堂入りの話がナシになったのに、肝心のマレウスさんに伝わらず、マレウスさんは殿堂入りと勘違いしたまま大会を欠席、なんて……
ユウ
「……エース、デュース」
エース
「ん?」
デュース
「どうした?顔色が悪いぞ」
私は、書類を手に取って、2人を振り返る。
ユウ
「ごめん……もう少しの間、グリムのこと見てて!」
そう2人に言って、私は部屋から飛び出した。
エース
「あっ、おい!?」
デュース
「どこに行くんだ!?」
階段を駆け下り、談話室を抜けて、玄関から寮の外に出る。
私は、部屋の窓から顔を出すエースとデュースを一度振り向いて、「すぐ戻るから〜!」と手を振りながら走り出した。
向かうは鏡舎、扉の先のディアソムニア寮!
◇◆◇◆◇◆
オンボロ寮からメインストリートに向かって、本校舎とは反対方向に走る。
購買部の前を通り過ぎて少ししたところで、鏡舎に辿り着いた。
ユウ
「えーっと、えーっと……」
ディアソムニア寮に繋がる鏡を見つけて、私はその前に立つ。
これって、魔力の無い私にも使えるのかな?
少し不安だったけど、触れると鏡は私にも反応してくれた。
良かった、行けるっぽい……
ユウ
「よし……」
私は、ディアソムニア寮への扉を潜った。
◇◆◇◆◇◆
ディアソムニア寮は、黒いお城のような立派な建物だった。
周囲にはカラスやコウモリが飛んでいる。
鏡から正門までの道は崖になっていて、下を覗いても底が見えない。
ユウ
「お化け屋敷みたい……」
そう思っても不思議と怖くないのは、ディアソムニア寮の荘厳さに圧倒されてるからだろうか。
崖の道を歩いて行き、正門の前に立つ。
ユウ
「………」
門は開いてるけど、勝手に入っても大丈夫なのかな……
周囲を見回してみても、人の姿は見当たらない。
もう部活も終わってる時間だし、生徒は寮に戻ってるはずだよね……
私は、意を決して寮の敷地内に足を踏み入れた。