【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
アズール
「そう……貴方は、一度は雑用係として働くことになったはずだ。それなのに何故、生徒として入学することが出来たんです?」
ユウ
「えっと……」
アズール
「ああ、失礼。決して貴方を馬鹿にしているわけではないんですよ」
ユウ
「あ、はい」
そんなあからさまな困り顔しなくても良いのに……演技臭くてなんだかな!
アズール
「ただ、貴方に魔力が無いことは確かで、とてもではありませんが学園長の温情だけで入学を認められるとは思えません」
アズール先輩が目を細める。
アズール
「『学園長は何か、貴方に価値を見出されたのでは?』と考えるのが自然というもの。……僕は、それが何なのか、知りたいんですよ」
鋭くも嫌らしくも見えるそれに見つめられ、私は背中に悪寒が走るのを感じた。
アズール
「ハーツラビュル寮の新入生2人が起こした退学騒ぎ……確か、あの時でしたね。貴方の入学が決定されたのは」
ユウ
「……はい」
何でもかんでも知られてしまうのは、嫌だ……けど、寮長さんの機嫌を損ねるわけにも……
私は少しの間沈黙した後、意を決して口を開いた。
ユウ
「……学園長曰く、僕には猛獣使い的才能があるらしいです」
アズール
「ほう?猛獣使い、ですか……」
さすがに予想外の単語だったらしく、アズール先輩は驚いたような顔をした。
ユウ
「ナイトレイブンカレッジの生徒は、才能と比例してプライドも高い者が多く、中々協力しようとしない……僕は、その退学騒ぎの時に、その2人に協力して貰うことで難を逃れました。それで……」
アズール
「学園長は貴方に才能を見出された、ということですね」
ユウ
「はい……ただ、僕自身は、特別な何かをしたつもりはないです。あの時も2人が協力してくれなければ、僕は今ここに居ませんし……」
話しながら、私の目線はだんだんと下がる。