【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
クロウリー
「それにも関わらず、対戦相手どころかディアソムニア寮の選手も、一度も魔法を披露することなく試合が終わる。異常事態と言っていい」
イデア
「あー、わかる。俺つえー展開も連続すると萎え」
なるほど、それで殿堂入りか……いや、それでもさすがに……
クロウリー
「マジカルシフトプロリーグを目指す生徒が数多く所属する、サバナクロー寮。学園設立以来、3位以下に転落したことがなかった優勝常連寮です」
学園長の話を聞きながら、私はレオナさんの方をチラッと見る。
レオナさんは、鋭い目で学園長をじっと見つめていた。
クロウリー
「それなのに、この2年はトーナメント1回戦でディアソムニア寮と対戦したばかりに、どちらも初戦敗退。これでは、プロリーグ関係者の印象にすら残りません。選手の将来にも関わります」
レオナさんが、不機嫌そうに口を開く。
レオナ
「………今年も、俺たちが無様に負けるって言いてぇのか?」
クロウリー
「私だって言いたくて言っているわけではありません。とにかく、殿堂入りの件は既にドラコニアくんに内諾を得ています。あとは、皆さんの合意を得るだけです」
ユウ
「!」
マレウスさん本人は承諾してるんだ……
考えてみれば、それもそうか……寮長という立場上、他の生徒の将来を天秤にかけられたら、自分がどんなに嫌でも承諾するしかないに決まってる。
ユウ
「………」
マレウスさんは、本当は出場したいと思ってるかもしれないのに……
レオナ
「は、舐められたもんだ……俺はな、センセー。“お前は絶対に一番になれない”ってハナから決めつけられることが、この世で一番嫌いなんだよ」
私は、レオナさんが怒るのも、もっともだと思った。
勝ち逃げされるようなものだし、多少なりとマレウスさんを意識して練習に励んでいたなら、それも無駄になるように感じるだろうし……
クロウリー
「いえ、そういうわけでは……」
レオナ
「じゃあ、どういうわけだ?」