【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
私が恐怖に震えそうになってる中、また違う寮長さんが声を上げた。
ヴィル
「今年こそ、ウルトラヴィジョン対応の崩れないベークメイクを完成させなきゃ。運動量が多いから、お直しの回数が増えるのよね」
わ、わ、わ……あの人めっちゃ美人だ!!!
きらきらしいオーラと顔面偏差値バリ高のお顔立ち……腕章を見るまでもなく、ポムフィオーレ寮の寮長さんだとわかる。
名前は、ヴィル・シェーンハイト……女性に見紛う美人さん。
口調も女性風で少し驚いたけど、容姿のせいか違和感はなかった。
リドル
「はぁ……メイク直しのためにタイムアウトを取るのは、ポムフィオーレ寮くらいですよ」
メイク直しでタイムアウトってマジか……美意識高いとは聞いてたけど、そこまでとは……
イデア
「なんでみんな、顔出し生放送に対して前向きなん?こちとら想像するだけで吐きそうなんですけど」
低い声が聞こえて、私はそちらに顔を向けた。
ユウ
「?」
けど、その席に人の姿はなくて、代わりにタブレット端末が置いてあるだけ。
あのタブレットを通して声だけの参加……?
あ、あの人がイグニハイド寮の寮長さんかな?ケイト先輩が「ガードが固い」って言ってた……確か、内向的な人が多い寮なんだよね。
名前は、イデア・シュラウドさんか……顔が分からない以上、声と名前だけはしっかり覚えておこう。
アズール
「ゴホン!皆さん、お静かに」
カリム
「あ、悪い悪い」
アズール先輩は、自身の眼鏡に触れて位置を直すと、手元の書類を手に取った。
アズール
「各寮、出場選手が決定し次第、登録書類の提出を。提出期限に1日でも遅れた場合……」
リドル
「もちろん失格、だね?」
アズール
「いえ。別途処理手数料をいただきます。特急料金というやつですね」
お金取るの!?
リドル
「なっ……ボクは、そうやって例外的なルールを作るのは良くないと思うけど!」
厳格なリドルくんは怒ったけど、アズール先輩は微笑んだまま答えない。
一見すると爽やかそうに見えるけど、営業スマイルっぽくてなんだかなぁ……
カリム
「ハハハ!オレはありがたいけどな〜!」
逆にカリム先輩の笑顔は、全く裏を感じさせない無邪気なもの……言ってることは寮長としてどうなのって思うけど!