【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
クロウリー
「最初に、大会運営委員長であるオクタヴィネル寮のアーシェングロットくんから報告があります」
学園長がそう言うと、寮長の1人が立ち上がった。
アズール
「運営委員長のアズール・アーシェングロットです。よろしくお願い致します」
なんか、この声聞き覚えがあるような……
あ、そうだ確か、入学式で暴れたグリムをリドルくんと一緒に追い詰めた人だ。
アズール
「ではまず、会場となるコロシアム周辺に設置予定の出店についてですが、外部企業枠、内部部活枠共に全て埋まりました」
カリム
「おっ!いいねえ。賑やかになりそうじゃないか」
頭に短いターバンを巻いた寮長さんが、楽しそうに声を上げる。
臙脂と黄色の腕章は確か……スカラビア寮、だったっけ。
私は、円卓の上に用意されてた資料を手に取って目を通してみた。
各寮寮長の名前が記載されてる欄を見つけて、それを確認していく。
スカラビア寮寮長さんの名前は、カリム・アルアジームというらしい。
アズール
「各国のロイヤルゲストへの招待状は全て送付完了。観客席のチケットの売れ行きも順調です。そして今年も例年同様、多数のテレビ局と新聞社より取材申し込みが来ています」
カリム
「この大会は、世界中が注目してるもんな。この学園に入学する前は、オレも招待状くるのが毎年楽しみだったっけ」
アズール先輩の話に「うんうん」と頷いた後、カリム先輩は別の寮長さんの方に顔を向けた。
カリム
「あ、王族なんだし、レオナんちにも招待状が来てただろ?小さい頃、会場ですれ違ってたかもな」
レオナ
「……さぁな。どーでもいい」
私は、その人に視線を向けて……
ユウ
「!!あ……っ」
思わず悲鳴を上げそうになったけど、なんとか手で口を押さえて塞ぐ。
あ、あの人は……!!
カリム先輩が話しかけたのは、以前植物園で私が尻尾を踏んでしまい、それに怒って私を殴ろうとしたレオナって人だった。
今はなんか眠そうにしてるけど、雰囲気はやっぱり怖い……
つまり私は、サバナクロー寮寮長の尻尾を踏んでしまったわけで……
ユウ
「…………」
ヤバいかもしれない。