【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
ラギー
「オレはカビさえ生えてなきゃ何でもいいッスけどね。ま、王子様のレオナさんにはわかんないでしょうけど」
レオナ
「フン……第一王子ならまだしも、俺は第二王子。どうせ王になれる望みも薄いし、庶民と何も変わらねぇよ」
レオナの発言に、ラギーは眉間にシワを寄せる。
ラギー
「オレ、レオナさんがウチの実家の写真見て『犬小屋かと思った』っつったの、一生忘れないッスよ」
レオナ
「そんなこと言ったか?」
ラギー
「言いました〜!……ったく、オレも自分ちが犬小屋に見えるようなお城に住んでみてぇッスわ」
レオナ
「はっ。王族なんていいモンじゃないぜ。努力や実力は関係なく、生まれてくる順番で全てが決まっちまうんだからな……」
ラギー
「ふーん……そんなもんスか」
あまり興味はないというように、ラギーは相槌だけを返す。
彼にとっては『王族=めちゃくちゃ金持ち』という情報だけで充分なのだ。
その後、ラギーは思い出したようにレオナの方を見る。
ラギー
「あ、そーだ。今日の放課後は、マジカルシフト大会に向けての寮長会議ッスよ。忘れずに出てくださいね」
レオナ
「……チッ、面倒くせぇな……」
ラギー
「寮長ってことで一番デカい一人部屋使ってんスから、家賃分ちゃぁんと仕事してください」
レオナ
「あー、わかったわかった」
鬱陶しげに手を振った後、レオナは「ふぁ〜」と欠伸をこぼした。
レオナ
「……腹が膨れたら眠くなってきた。昼休みが終わったら起こせ」
そう言って、レオナは再び寝転がる。
ラギー
「オレ、レオナさんの目覚まし時計じゃないんスけど……って、もう寝てるし!ったくも〜……」
文句はあったが、言う通りにしなければ後が面倒だとラギーは分かっているため、大人しく従うしかない。
やれやれと肩を落としながら、ラギーはふと大食堂でのことを思い出した。
ラギー
「そういえば、さっきの狸と1年生、どっかで見たような……?」
同じ時、大食堂でユウもラギーについて同じことを思っていたのだが……
2人はお互いに、知る由もないのだった。