【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
グリム
「にゃっはっは!!勝利の味、とくと味わわせてもらうんだゾ!」
グリムが嬉しそうに声を上げると、それを聞いた男子生徒が振り向いて私が抱えてるグリムを目に留める。
柔らかそうな茶髪、青灰色の瞳の垂れ目、頭には大きな獣耳……痩躯にサイズの大きな制服を身に纏った人だった。
ラギー
「おっ、そこの君。すごいッスねぇ。超人気のデラックスメンチカツサンド、ゲット出来たんスか」
グリム
「あん?なんなんだゾ、オマエ」
ラギー
「あのさ、オレ、今日ど〜してもそのパン買わないといけないんスけど、直前で売り切れちゃって……そこで相談なんスけど、こっちのミニあんパンとそっちのデラックスメンチカツサンド、交換してくんないスか?」
ユウ
「あー、えーっと……」
この人には申し訳ないけど、さすがにミニとデラックスを交換は、釣り合いが取れてなさ過ぎでは……
グリム
「はぁ!?絶対に嫌なんだゾ!」
グリムも半ギレで断った。
飛び出してしまわないように、私はグリムをしっかりと抱えておく。
ラギー
「まあまあ、そう言わずに……」
茶髪の男子が、手のひらより小さなミニアンパンをグリムに差し出す。
ラギー
「はいっ、どーぞ♪」
グリム
「ふなっ!?なんだコレ!?前足が勝手に……」
グリムは、それに応えるようにデラックスメンチカツサンドを茶髪の男子へ差し出した。
ユウ
「えええ!?グリム!?」
食い意地が張ってるグリムが、ミニとデラックスを交換!?
ラギー
「はい、交渉成立。シシシッ♪」
茶髪の男子はデラックスメンチカツサンドを手に、八重歯を見せて笑う。
ラギー
「いやー、優しいヤツが交換してくれて助かったッス!そのミニあんパンもめーっちゃ美味いッスから」
ユウ
「ちょっ!待ってくださ……」
ラギー
「小さいのが玉に瑕だけどね。ってわけで、ばいばーい!」
私が止める声は聞こえなかったように、その人は意気揚々とこの場から去って行った。