【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第8章 【荒野の反逆者】前編
そもそもオンボロ寮自体長く使われてなかったんだから、オンボロ寮専用のベストと腕章なんてあるはずないし……
でも、季節的にこれから段々と寒くなる時期だから、せめてベストは欲しくて……ダメ元で学園長にお願いしてみた。
『折角ですから腕章もプレゼントして差し上げましょう。私、優しいので』
ベストは、私とグリムが持つ魔法石と同じ薄紫色。
腕章は、オンボロ寮には寮章がないから代わりにナイトレイブンカレッジの校章に、グリムが身に付けてるのとお揃いのリボンで作られていた。
エース
「ふーん……結構似合ってんじゃねーの?腕章は、オレらのとは大分違う感じだけど」
デュース
「ああ、似合ってるぞ」
ユウ
「えへへ、ありがと!」
グリム
「ユウだけズルいんだゾ!オレ様は制服だってねえってのに」
エース
「猫サイズの制服はねえだろ」
グリム
「オレ様は猫じゃねー!!」
歩くたびに腕章のリボンが揺れて、腕にまだ少し慣れない違和感がある。
それも嬉しくて、私は反対の手で腕章を撫でた。
デュース
「随分と嬉しそうだな」
ユウ
「そりゃ嬉しいよ!これで、グリムを探す時『同じリボンのモンスター見てませんか?』って聞けるし。便利」
グリム
「オレ様、迷子になったりしねぇんだゾ」
ユウ
「脱走するじゃん」
グリム
「ぐぬ……」
否定しないってことは、これからまたやるかもって自覚があるんだろうな〜……しっかり見張ろ。
グリム
「ふ、ふん。ベストや腕章がなんだってんだ。オレ様には、オシャレなリボンとカッケー首輪があるんだゾ」
グリムは、鼻を鳴らしながら胸を張ってそう言った。
悔しそうに見えるけど、本人強がってるからツッコまないでおく。
グリム
「とっとと教室に行くんだゾ!オレ様は大魔法士になるために、たくさん勉強しなきゃいけねえんだ!」
ユウ
「あ、待って!」
たたーっと一人で駆け出すグリムを、私達は走って追いかけた。
今日のグリムは、やる気に満ちてるみたい。
◇◆◇◆◇◆
午前の授業が終わって、昼休み
昼食を摂るため、私達は大食堂に入った。
グリム
「ゔ〜。トレインセンセーは、オレ様を眠らせる魔法を使ってるとしか思えないんだゾ」