【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
ユウ
「確かに、僕は魔法が使えないし、僕の親も魔法は使えません。この学園に来るまで、魔法について何も学んでこなかったのも事実です」
私は真っ直ぐに、リドル寮長の灰色の瞳を見つめた。
ユウ
「それでも、ちゃんと育ててもらいました。不憫に思われることは、何もありません」
リドル
「………」
リドル寮長は、苦しそうな表情をして俯く。
リドル
「ごめんなさい……」
消え入りそうな声だった。
リドル
「どうか、許して欲しい……」
ユウ
「……ふーっ」
大きく息を1つ吐いて、私はリドル寮長に「顔を上げて下さい」と伝えた。
ユウ
「これで僕たち、おあいこですね」
リドル
「え……」
ユウ
「謝って下さいましたし、もういいです。もう怒ってません」
私がそう言うと、ホッとしたようにリドル寮長の表情が少し柔らかくなった。
もしかして……ずっと気にしててくれたのかな……
リドル
「──ありがとう」
ユウ
「!」
さっきよりずっと自然に、リドル寮長はそう言って笑った。
ユウ
「あ……」
ふ、不意打ちだ……!何あの可愛すぎる笑顔!!
私は顔が熱くなるのを感じて、バッとリドル寮長から目を逸らした。
ユウ
「そっ、そろそろ戻りましょうか。パーティの片付けもありますし……」
リドル
「!ま、待ってくれ」
パーティ会場の方に歩き出した私を、リドル寮長が慌てたように呼び止める。
私は少し悩んだけど、無視するわけにもいかず、まだ熱の引かない顔でリドル寮長を振り向いた。
リドル
「もう一つ……キミに、伝えたいことがあるんだ」
ユウ
「な、何ですか……?」
もう、この雰囲気に耐えられそうにないから、早めに戻りたいんですけど……!
リドル寮長は何やら周りをキョロキョロと見回して、一点に目を留める。
1本の薔薇の木のもとに歩いて行き、一輪の薔薇にその手で触れた。
パァッ
淡い光が薔薇を包み込む。
ユウ
「!」
リドル寮長の手の中で、薔薇は鮮やかな赤から元の綺麗な白に色が戻った。