【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
手を下ろして苦笑するトレイ先輩に、私は思いっきり笑って見せた。
トレイ先輩に勝った気分!
トレイ
「はは……参った。ユウは、よく人を見てるな」
トレイ先輩が、ポンと私の頭に手を置く。
そのままワシャワシャと強く頭を撫でられた。
ユウ
「わっわっ!またですか!?やめてください〜!!」
トレイ
「遠慮するな。先輩の秘密に気付けた賢い後輩は、目いっぱい可愛がってやらないとな」
ユウ
「また髪がボサボサになる〜!!」
中々やめてくれないトレイ先輩に抗議の目を向けると、トレイ先輩は実に楽しそうに笑っていた。
何これ、新手の仕返し!?
グリム
「ユウのヤツ、またトレイに遊ばれてるんだゾ」
ユウ
「トレイ先輩もエースばりに意地悪だ!」
エース
「さりげなくオレをディスるなよな」
涙目になってる私に顔を近づけて、トレイ先輩はそれはそれは意地悪な笑みを浮かべて……
トレイ
「おいおい、俺は優しい方だろ?少なくとも俺は、お前に魔法を向けたりしないぞ」
なんてことを言ってきた。
ユウ
「あ、さっきの見てたんですか……なら止めて下さいよ!」
本っっ当にもう!トレイ先輩は!!!
トレイ先輩の手からやっと解放されて、私はボッサボサグッチャグチャの髪を一生懸命手櫛で整えた。
ユウ
「……絶対に優しくない」
トレイ
「何か言ったか?」
ユウ
「いーえ、何も」
私は、トレイ先輩から目を逸らして、大きめの溜息を吐く。
そんな中、見覚えのある猫耳を見つけた。
「ふんふふーん♪」
ユウ
「!?」
このご機嫌な鼻歌は、もしかして……
ユウ
「チェーニャさん!?」
チェーニャ
「トレイのお菓子はいつ食べても絶品だにゃあ〜。モグモグ」
いつの間に潜り込んだのか、そこにはチェーニャさんが居た。
前あった時と同じ不敵な笑顔で、堂々とトレイ先輩お手製タルトを食べている。