【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
魔法が使えない私にもわかるのに、グリム達は思いつかないのかな?
ユウ
「エースが串刺しにされそうになったあの時……たった一瞬のことだったのに、トレイ先輩は正確にリドル寮長の魔法を上書きしてた」
私は、トレイ先輩の顔を見上げ、その山吹色の瞳を見つめた。
ユウ
「それってつまり、リドル寮長の魔法を上書きすることを、ずっと前から強くイメージしてたってことなんじゃないですか?」
トレイ
「!」
ユウ
「トレイ先輩が一体どれだけ前から、どれだけ強くイメージし続けていたのか、僕には想像もつきませんけど」
トレイ先輩の瞳が揺れるのを見て、私は自分の考えが当たってることを確信した。
トレイ先輩はずっと前から、リドル寮長を止めるためのイメージをしてたんだ。
リドル寮長を想いながら、それでもいざという時止めるのは自分だと……ずっと1人で、心の中で、戦い続けてたんだ。
ケイト
「あ、そっか……わ〜、ユウちゃん鋭い!トレイくん、どう?自分が隠してた秘密を暴露された気分は」
ケイト先輩が、ここぞとばかりにトレイ先輩に意地悪な笑みを向ける。
エース
「つまりトレイ先輩は、もっと早く寮長を止めることが出来たってことじゃん!何でやらなかったんだよ!」
デュース
「絶対に止められたとは言い切れないと思うが……いや、でも……」
ケイト
「トレイくん、ひど〜い!」
グリム
「トレイのヤツ、良いヤツに見せかけて結構食えねぇ性格してるんだゾ」
リドル
「トレイ……そんなに前から、ボクを止めようとしてくれていたのか」
みんなの視線がトレイ先輩に集中する。
トレイ先輩はそれから逃れるように、片手で自分の目元を覆い隠してしまった。
トレイ
「ハァー……」
手を少しずらして覗かせた目で、チラリと私を見る。
トレイ
「まったく、お前は……」
ユウ
「だって、散々人を弄んでおいて、トレイ先輩だけ何も無しなんて不公平じゃないですか」
トレイ
「別に弄んだつもりはないんだがな……」