【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
トレイ
「このタルトは甘くないから悪くない、だろ?」
ケイト
「えっ?」
トレイ先輩に言われて、ケイト先輩が驚いたような顔をする。
トレイ
「お前、甘いもの嫌いだもんな」
ユウ
「え、そうなんですか?」
あれ?でもマロンタルト作った時、味見係って言ってわざわざ食べに来てなかったっけ……
ケイト
「えっ、えっ……トレイくん、なんで知ってんの?オレ、甘い物苦手だなんて誰にも言ったことないんだけど」
トレイ
「『ドゥードゥル・スート』を話のネタにするフリで、よくケーキの味を変えさせるだろう?全然顔には出さないけど、もしかしたら甘い物が嫌いなのかなとずっと思ってた」
トレイ先輩の言葉に思い返してみれば、ケイト先輩はマロンタルト一口食べてすぐにドゥードゥル・スートの話題をふっていた。
ケイト
「あ〜……バレてたんだ?うわ、はっず……」
ケイト先輩は若干顔を赤くしながら、トレイ先輩に咎めるような目を向けた。
ケイト
「トレイくん、リドルくんの件もそうだけど、その『思ってたけど言わない』っての良くないと思うな〜、オレ」
トレイ
「次の『なんでもない日』は、キッシュも焼いてやるからな」
ケイト
「そりゃどーも。……ケーキ並みにフォトジェニックなやつにしてね」
トレイ先輩が今回の出来事で一番、出会った時との印象が変わったというか……
ユウ
「トレイ先輩って、意外と人が悪いですよね」
トレイ
「ん?そうか?」
ユウ
「オイスターソースも、ケイト先輩のこともそうですけど……一番は、ドゥードゥル・スートです」
グリム
「トレイのユニーク魔法が何だってんだゾ?」
私の言った意味が伝わらなかったのか、グリムやエース達が不思議そうな顔をする。
ユウ
「いくらドゥードゥル・スートが要素を上書きする魔法だからって、“他人のユニーク魔法を上書き”なんて、簡単に出来るわけないと思わない?」
エース
「言われてみると、確かに……」
デュース
「クローバー先輩のユニーク魔法は、本当に凄いってことだな」
ユウ
「そうじゃなくて」
「「「?」」」