【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
ユウ
「もう…………ん?」
ふと視線を感じて、私がその方向を見ると……リドル寮長と目が合った。
また怒られる……!?
私は身構えたけど、リドル寮長の視線はすぐに外れる。
睨まれたわけでも、咎めるような目を向けられたわけでもなく、ただ見られてただけ……
リドル
「………」
ユウ
「?」
何だったんだろ?
薔薇の色塗りは進み、残る薔薇の木はあと1本だけ。
みんなで最後の薔薇の木に取り掛かろうとした……その時、リドル寮長が大きく杖を振った。
次の瞬間、最後の薔薇の木の白薔薇が、全て鮮やかな赤色に変わる。
リドル
「よし、こんなものだろう」
エース
「すげー、一瞬で終わっちまった!」
デュース
「すごい速さで全ての薔薇を赤に塗り変えた……さすが寮長だ」
ユウ
「すっ、凄い!」
私本当に居る意味なかったんじゃ……
ケイト
「リドルくん、実践魔法は特に得意だからね〜」
トレイ
「さすがだな、リドル」
リドル
「これで準備は出来たね。なんでもない日のパーティを始めよう!」
◇◆◇◆◇◆
リドル
「では、誰の誕生日でもない『なんでもない日』を祝して!乾杯!」
「「「「「「カンパーイ!」」」」」」
リドル寮長の声で、私達は紅茶の入ったティーカップを手に乾杯した。
エース
「で、寮長の詫びタルトは結局どうなったの?」
リドル
「ち、ちゃんと作ってきてるよ」
リドル寮長が、テーブルの上のタルトの1つを指差す。
リドル
「これ。この苺のタルトは、ボクが作った」
トレイ
「うんうん。形は少し不格好だけど、苺の艶を出すナパージュを塗るひと手間もかけてるし、初めてにしては上出来だ」
エース
「はい、すかさず甘やかし入りました〜」
ユウ
「初めてでこんな綺麗に作れちゃうなんて、凄いですね!」
エース
「ユウまで甘やかすなよな」
甘やかしてるんじゃなくて、本当に凄いと思ったんだけど……