【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
ケイト
「えっ?」
ティーカップを掲げたケイト先輩を、リドル寮長の鋭い声が止めた。
リドル寮長の視線の先には、薔薇園の一角にある薔薇の木たち。
リドル
「その白い薔薇……」
エース
「げっ!塗り残し!?」
その木たちには、綺麗な白薔薇が咲き誇っていた。
ケイト
「あわわわ……エースちゃん、デュースちゃん、ちゃんと塗ってって言ったじゃん〜!」
デュース
「僕たちのせいですか!?」
トレイ
「リ、リドル。これは……」
ユウ
「まさか、また……!?」
確か、パーティの日の薔薇は赤って、ハートの女王の法律で決まってるんだよね……あ、これ怒られるやつ──
リドル
「……なんてね」
──と思ったら、意外にもリドル寮長は怒らなくて、身構える私達を見てクスッと笑った。
初めて見たリドル寮長の笑顔は、うっとりするくらい綺麗で、それ以上に可愛かった。
リドル
「もう、薔薇の木の1本や2本で罰したりしないさ」
ケイト
「ほ、ほんとー!?リドルくん寛大!」
リドル
「みんなで塗れば早いだろうしね」
エース
「って、塗るのは変わんねーのかよ!」
罰したりはしなくても、ハートの女王の法律はやっぱり譲れないんだ……
トレイ
「まあまあ。それでも、本当に……うん。変わったな、リドル」
私は、トレイ先輩の言葉に大きく頷いた。
リドル寮長はもう、厳しいだけの暴君じゃない。
グリム
「もう、1秒も我慢できねえんだゾ!さっさとバラでもなんでも塗って、パーティだ!」
みんな揃って白薔薇の木のもとに向かう。
リドル
「それじゃみんな、準備はいい?」
ケイト
「はい、ユウちゃんはペンキね!」
ユウ
「パーティ当日にもペンキ常備されてるんですね……」
私は苦笑しながら、ケイト先輩からペンキと刷毛を受け取った。
エース
「オレはもう魔法で色変えれるから、ユウと一緒に塗ってあげられねーけど、大丈夫か?」
ユウ
「僕が一緒に塗ってあげてた方だから!」
エース、首輪がなくなったからってまた調子に乗ってない!?