【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
グリム
「コレ、ドワーフ鉱山で落ちてた黒い石と同じヤツなんだゾ!」
ユウ
「あー、あの時の」
どうりで見覚えがあると思った。
デュース
「本当だ。どこから落ちてきたんだ?」
エース
「今度は食うなよ」
グリム
「一度食べたら忘れられないあのお味!いっただっきまーす!」
ユウ
「あっ、コラ!グリム!」
止めようと手を伸ばす私をヒラリと躱して、グリムは黒い石を口の中に放り込んだ。
エース
「って、もう食ってるし!」
ケイト
「え、グリちゃんってそういうゲテモノ食べるタイプなわけ?」
ユウ
「グリム〜!ペッしなさい!ペッ!」
グリム
「はわぁ〜……!こってりとした甘味がありながら、ほんのりとビターな香ばしさを感じさせるお味!このあいだのヤツとはまた違った旨味がある石なんだゾ!」
頬を押さえて、グリムは幸せそうな顔をした。
ユウ
「拾い食いがクセになってるぅ!」
いくら美味しいからって!
エース
「まあモンスターだから、オレらとは胃の造りが違うんじゃね?」
デュース
「それにしても拾い食いはよくないと思うが……」
ごもっとも。
グリム
「ンッ!この芝生も食べてみるとなかなか爽やかでイケるお味なんだゾ」
デュース
「こら!!そんなものまで食べるんじゃない!」
ムシャムシャと芝生を食べるグリムを、私は今度こそ捕まえた。
グリム
「ふなぁー!離すんだゾ〜!」
ユウ
「いい加減にしなさい!晩ご飯抜きにするよ!?」
グリム
「ふなっ!?オマエ、それは卑怯なんだゾ!」
ケイト
「あーあ。ったくもー……」
ケイト先輩は、騒ぐ私達を眺めながら、呆れたような顔をした。
ケイト
「……お前たち、ありがとな」
ユウ
「!」
エース
「なんか言いました?」
ケイト
「んーん、なんでもなーい」
ケイト先輩はいつもの笑顔で、ヒラヒラと手を振る。
小さく放たれた一言は、3人の耳には届かなかったみたいだけど……
ユウ
「僕はバッチリ聞きました」
ケイト
「え゙っ」