【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
ケイト先輩がマジカルペンを一振りすると、何もないところから水が生まれて、ハンカチを濡らしていく。
ユウ
「わ、凄い!魔法があれば、水不足で苦しむこともありませんね!」
ケイト
「あはは♪こんなので目ぇ輝かせちゃうなんて、ユウちゃん魔法に慣れてなさすぎ〜」
そう言って笑いながら、ケイト先輩は再度私の腕を取って、傷にハンカチを当ててくれた。
ユウ
「まだまだ慣れる気しないです。ケイト先輩達にとっては些細な魔法でも、僕はやっぱり凄いって思っちゃいます」
ケイト
「魔法が使えなくて、魔法に慣れてなくて……それなのに、オーバーブロットしたリドルくんに立ち向かってくなんて」
私の腕を掴む、ケイト先輩の力が少し強くなる。
ケイト
「あんまり無茶しちゃダメだよ?……ユウちゃんが飛び出してった時、オレもエースちゃん達も本当に焦ったんだから」
ユウ
「ケイト先輩……」
ケイト先輩の表情に、いつものおちゃらけた雰囲気はなくて……
トレイ先輩に殴られた事を心配してくれた時みたいに、とても真剣なものに見えた。
ユウ
「……ごめんなさい」
心配をかけてしまった申し訳なさで、私はケイト先輩に謝った。
デュース
「ダイヤモンド先輩の言う通りだ。まったくテメェは、ドワーフ鉱山の時といい無茶ばっかりしやがって……」
ユウ
「ごめんってば!」
デュースの口調が乱れてる……かなり怒ってる証拠だ。
エース
「おいユウ、一発殴らせろ」
グリム
「オレ様もなんだゾ」
ユウ
「嫌だー!!」
エースもグリムも怒ってるっぽい!
でも私、殴られなきゃいけない程のことしたかな!?
結局、エースからはデコピンを喰らい、グリムからは猫パンチをお見舞いされた。
すごく納得いかない。
グリム
「うう、いっぱい魔法を使ったら腹が減ったんだゾ〜……」
言ってるそばから、グリムのお腹がグ〜っと鳴った。
グリム
「ん?コレは……」
グリムが、地面から何かを見つけて拾い上げる。
それは、漆黒の鉱石だった。
なんか見覚えがあるような……