【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
ユウ
「なっ……!?」
グリム
「ぎゃっはっは!コウモリが水鉄砲くらったみたいな間抜けな顔してるんだゾ!」
ユウ
「何でここに……アンタ、追い出されたはずじゃ……」
グリム
「オレ様の手にかかれば、もう一度学校に忍び込むことくらいチョロいチョロい。ちょっと外に放り出したくらいで、オレ様が入学を諦めると思ったら大間違いなんだゾ!」
まだ諦めてないんだ!?
ユウ
「……どうしてそんなに、この学校に入りたいの?」
グリム
「単純な話なんだゾ!オレ様が、大魔法士になるべくして生を受けた天才だからなんだゾ!」
ユウ
「へ、へぇ……?」
グリム
「いつか黒い馬車が迎えに来るのを、オレ様はずっと待ってた。なのに……なのに………」
話しながら、グリムの目には涙が溜まる。
黒い馬車が迎えに来てくれなかったのが、よほど悲しかったみたい。
グリム
「ふ、ふん!闇の鏡も、見る目がねーんだゾ。だからオレ様の方から来てやったってわけだ。オレ様を入学させないなんて、この世界の損失だってのに、ニンゲンどもはわかってねーんだゾ」
ユウ
「ふーん……グリムは、凄いね」
自分から選ばれに来るなんて、本当に強くこの学校に入りたいと思ってるんだ……
グリム
「そうだ!オレ様はすげーんだゾ!」
胸を張るグリムは、自信満々な表情。
でも人間の学校に猫は無理だよね……喉まで出かかったセリフは、飲み込むことにした。
ピチャッ
グリム
「に゙ゃっ!つめてっ!天井から雨漏りしてやがるんだゾ!」
ユウ
「あー、雨漏りか……まぁ、これだけボロければ」
ピチャッ
グリム
「ふぎゃっ!また水が降ってきた!オレ様のチャームポイントの耳の炎が消えちまう〜!」
ユウ
「グリム、そこどいて。バケツ置いとかなきゃ、床が腐っちゃう」
私はさっき掃除に使ったバケツを置いた。