【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第1章 【WelcomeToTheVillains'World】前編
◇◆◇◆◇◆
クロウリーさんについて行き、貸してくれるという寮に辿り着いた。
けど、これは……
ユウ
「趣があり過ぎる」
クロウリー
「そうでしょう、そうでしょう」
寮というだけあって建物は大きくて立派だけど、全体的に土埃で汚れてるし蜘蛛の巣がはってる。
広い庭は雑草だらけで、枯れ木が1本だけ寂しそうに立っていた。
オンボロ屋敷かよ!
クロウリー
「さあ、中へどうぞ」
中も広くて天井が高い……埃だらけ蜘蛛の巣だらけでなきゃ、本当に立派な寮なのに……
クロウリー
「ここであれば、とりあえず雨風は凌げるはずです。私は調べ物に戻りますので、適当に過ごしていてください」
ユウ
「はい……」
まぁ、野宿よりは大分マシだよね……贅沢言える立場じゃないし。
クロウリー
「学園内はウロウロしないように!では!」
そう言い残して、クロウリーさんは寮を後にした。
私は寮の中を見回す。
暖炉とかソファーとか、調度品はどれも上等なんだけど……
ユウ
「降り積もった埃が雪みた〜い……」
言ってる場合か!←
ユウ
「座る為にも、まずは掃除しなきゃ」
取り敢えず談話室だけでもと、私は窓を開けて、埃を払って、雑巾を絞って、窓や床を拭いた。
こんな広い空間を掃除なんて、小中学校で期末にやった大掃除以来だな〜。
ユウ
「よし……さすがは私」
所々はまだ汚れてるけど、来た時とは見違える談話室の様子に私は満足して頷いた。
汚れないように脱いでた上着を着直して、掃除道具を片付ける。
ユウ
「………あ」
ふと窓を見ると、外は雨が降り始めていた。
ここが我が家なら、「洗濯物!」って大騒ぎするところだ。
グリム
「ぎえー!急にひでえ雨だゾ!」
ユウ
「!!!!」
こ、この声は……!!
バッと後ろを振り向くと、そこには迷惑な狸もといグリムが居た。