【TWISTED-WONDERLAND】夢物語ヒロイン!
第7章 【真紅の暴君】後編
【in a DREAM】
……また、不思議な夢?
私は、法廷のような場所に立っていた。
高い陪審員席と、更に高い裁判長席、中央の証言台、囲むように作られた傍聴席……
アリス
「言わせてもらうわ。なにが女王陛下よ!」
証言台には、あの金髪の少女が立っている。
裁判長席に着いた女王に、強気な視線を向けていた。
アリス
「あなたは、ワガママで底意地の悪い暴君じゃない!」
ハートの女王
「フ、フフフ。お前、今なんとお言いだったね?」
女王は、怒りを静かに堪えながら少女に聞き返す。
その頭上に、突如として一匹の猫が現れた。
チェシャ猫
「アンタは、ワガママで底意地の悪い暴君だとさ♪」
不適に笑う猫の言葉に、女王の顔は真っ赤になる。
ハートの女王
「うぎいいいいいい!首をおはねーー!!!」
女王の掛け声で、傍聴席のトランプ兵達が一斉に少女へと飛びかかった。
トランプ兵たち
「ワアアアーーーー!!!」
ハートの王
「女王の命令だぞ!首を切れ〜!」
ユウ
「逃げて!!」
私は、少女に向けて叫んだけど……多分この声は、この場の誰にも届いてないんだろう。
私には、何もできない……
私は、激昂する女王を見上げた。
誰だって、間違ってるとわかるはずなのに……誰も、間違ってると言えない。
だから女王は、間違いに気付けない。
ユウ
「──こうなる前に、誰かが止めてあげていれば……」
私は、トランプ兵に襲われる少女ではなく、ただ女王だけを見つめていた。